介護職が転職する際、採用担当者から好印象を持たれる履歴書を作成しなければなりません。ここでは、志望動機の書き方、伝え方を例文集付きで解説します。キャリアアドバイザーからのポイント解説もあるので、ぜひ参考にしてください。

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志望動機を書くときの3つのポイント

志望動機は、以下の3つのポイントを押さえて書くようにしましょう。

採用担当者にわかりやすく、前向きな志望動機を伝えることが重要です。

わかりやすい構成で書く

履歴書に書く志望動機は、履歴書の種類によっても異なりますが、200~300文字程度が目安です。

履歴書の志望動機の書き方例。1‥結論、2‥経験、3‥入植後のイメージの3つの構成に分けて書く。200~300文字程度が目安。

上の図で示しているように、3つの構成に分けて考えることで、採用担当者が読みやすい志望動機を作成できます。

  1. 結論:なぜその施設に入職したいのか
  2. 経験(きっかけや根拠):どのような経験から、その施設で働きたいと思ったのか
  3. 入職後のイメージ:入職後、その施設でどのような活躍をしたいか

経験や実績を具体的に書く

介護職経験者の場合は、どのような経験からその施設に魅力を感じたのか、その経験からどのようなケアをしたいと思うようになったのかを、なるべく具体的に書きましょう。

ホームページやパンフレットで施設の理念やサービス内容を調べ、それらに合致する経験を書けると好印象です。

未経験者の場合は、家族の介護経験を基に書いても構いません。親や祖父母の介護の経験から、どういう思いで介護職を目指そうと思ったのか、どういうケアを利用者に提供したいのかを書きます。

前職の給与や待遇面、人間関係の不満を書かない

介護職経験者、あるいは介護業界以外からの転職であっても、前職の給与や待遇面、人間関係への不満を書いてはいけません。

介護施設でもっとも重要なスキルのひとつは、他の職員とのチームワークを形成するためのコミュニケーション能力です。人間関係についての不満を書いてしまうと、採用担当者から「また人間関係で辞めてしまうのではないか」と思われてしまう可能性があります。

待遇や給与について書くのもNGです。採用担当者からすると、「給料だけでうちの施設を選んだのか」「楽に働きたくてうちを選んだのか」と疑念を持たれてしまうかもしれません。また、当然ながら、「家から近い」ことを志望動機として書くのもよくありません。

キャリアアドバイザーから一言

志望動機を書く際は、採用担当者がどう感じるか?ということをしっかり念頭に置きましょう。
例えば、採用担当者は、主に以下のような点に着目しています。

  • うちの施設で働く意欲は高いか
  • 経験やスキルはあるか(即戦力になってくれそうか)
  • コミュニケーション力はあるか
  • 長期間働いてくれるか  

…etc

また、重要なポイントとして、字の丁寧さが挙げられます必ずしも達筆であることが良いというわけではなく、「一生懸命に書いた」「読む側の気持ちを考えて書いた」ことが伝わることが重要です。
さらに、志望動機の枠を8~9割以上埋めることも、採用担当者から好印象を得るための大切なポイントです。

ケース別 志望動機例文集

ここからは、職種、施設種別(サービス種別)ごとに、採用担当者から好印象を持たれる志望動機例を紹介します。

1.特別養護老人ホーム(特養)の志望動機

終の棲家である特別養護老人ホームで、ご入居者様がその方らしい最期を迎えるサポートをしたいと思い、志望しました。

これまで介護老人保健施設で3年間勤務しておりましたが、在宅復帰を支援した後はご入居者様の様子をなかなか知ることができず、とても残念に感じていました。特別養護老人ホームでは、ご入居者様を最期まで支援することができます。お一人お一人の、その方らしい生き方を実現させてあげたいと考えています。

貴施設の「ご入居者様が笑顔になれる支援」という理念は、その方らしい生き方の実現には欠かせない考え方だと感じています。これまで培ったスキルを活かして、即戦力として頑張りたいと思います。(293文字)

キャリアアドバイザーから一言

特別養護老人ホームで働きたいと思った経験が具体的で、筋の通っている志望動機でしょう。

また、施設のホームページやパンフレットなどから理念を調べ、共感している姿勢を伝えられていることも採用担当者の好印象に繋がります。

※特養の志望動機の例文集をもっと見たい方はこちら→『特養の“受かる”志望動機の例文5選|書き方・他施設との違いも解説

2.介護老人保健施設(老健)の志望動機

多くのご入居者様とそのご家族が望んでいる「在宅復帰」を支援したいと考え、志望しました。

これまで特別養護老人ホーム、有料老人ホームを経験しましたが、多くのご入居者様やご家族から、「本当は自宅で最期まで生活したい」というお話を聞きました。それがきっかけとなり、怪我や病気などで一度自宅を離れた方の在宅復帰を支援できる介護老人保健施設で働きたいと考えるようになりました。

医療スタッフ、介護スタッフ、リハビリスタッフの連携を強みにしている貴施設に入職し、ご入居者様の在宅復帰の可能性を上げられる一員になりたいと思っています。(262文字)

キャリアアドバイザーから一言

介護老人保健施設で働きたい思いが伝わる経験が入っていると好印象です。

面接では、どのようなスキルがあるのか、他の職種と連携できるコミュニケーション能力を備えているのかをアピールすると、内定がぐっと近づきます。

※老健の志望動機の例文集をもっと見たい方はこちら→『【例文7選】老健の“受かる”志望動機の書き方

3.有料老人ホームの志望動機

貴施設のレクやイベントの豊富さや、面白さに共感し、応募いたしました。

現在勤めているデイサービスでは、レクやイベントを任されることが多く、とてもやりがいを感じています。ご利用者様の笑顔や一生懸命な姿が大好きで、お一人お一人の生きがいに貢献できている実感があります。

貴施設HP内のブログを拝見した際に、ご利用者様の笑顔溢れる姿に感銘を受けました。日常生活のサポートはもちろん、ご利用者様が「この施設でよかった」と感じてもらえるレクやイベントを実施したいと考えています。これまでの経験を活かしながら、さまざまな工夫を取り入れていきたいです。(271文字)

キャリアアドバイザーから一言

有料老人ホームの多くは民間事業者が運営しており、その特色はさまざまです。

レク、食事、ケア手法、理念、設備など、施設ごとにアピールポイントがあるはずなので、その1つをピックアップし、自分の強みと組み合わせると好印象です。

※有料老人ホームの志望動機の例文集をもっと見たい方はこちら→『【例文6選】有料老人ホームの”受かる”志望動機 | 施設の特徴も紹介

4.グループホームの志望動機

貴施設の「お一人お一人に役割を任せ、自分らしく生活していただく」という認知症ケアの理念に強く共感し、応募いたしました。

特養で勤めた5年間で、多くの認知症のご利用者様と接してきました。その中で感じたのは、認知症になっても、役割があることでその人らしい日々を送ることができるということです。

貴施設では、スタッフがなるべくサポートに徹し、ご利用者様の能力を最大限に活かしてもらうことを重視しておられます。これまで培ってきた観察力を活かして、支えるときは支え、見守るときは見守ることを大事に貴施設で活躍したいと考えています。(262文字)

キャリアアドバイザーから一言

自分なりの認知症ケアへの考え方を持っていること、それが施設の理念に合致していることは人事担当者から見て非常に魅力的です。

面接では、自分の考え方を培ってきた経験やエピソードを1~2つ具体的に話せるように準備しておきましょう。

※グループホームの志望動機の例文集をもっと見たい方はこちら→『【例文7選】グループホームに”採用される”志望動機の書き方・答え方

5.デイサービスの志望動機

コミュニケーション力を活かしてスキルアップがしたいと考え、志望いたしました。

これまで、2つの小規模施設でデイサービスの介護職として勤務し、その方自身の望む1日を過ごしてもらうためには、なによりもコミュニケーションが需要であることを学びました。

「多様性を重視し、お一人お一人を尊重する」を理念に掲げる貴施設で、さまざまなご利用者様のサポートを通じてコミュニケーションを磨き、将来的には後進の育成にも尽力したいと考えております。(216文字)

キャリアアドバイザーから一言

活かしたいスキルをアピールし、理念に共感したうえで、キャリアアップの意欲を伝えられているので、採用担当者は「長く勤め、中核を担う存在になってくれるかもしれない」と期待が持てます。

面接では、過去に後輩を指導した経験も伝えられると、内定がぐっと近づきますよ。

※デイサービスの志望動機の例文集をもっと見たい方はこちら→『デイサービスの“受かる”志望動機|未経験でも書ける例文8選

6.訪問介護の志望動機

最期までご自宅で過ごしたいという、多くのご利用者様からの期待に応えたいと思い、志望いたしました。

特別養護老人ホーム、グループホームで介護職をしてきましたが、多くのご利用者様が「本当は自分の家で最期まで生活したい」と思っていることを知ったことがきっかけで訪問介護に興味を持ちました。これまで培ってきた身体介助のスキルも活かすことができ、主婦としての経験も活かせると考えております。

「お一人お一人に合ったきめ細やかなサービス」を理念に、スタッフのスキルアップにも積極的に取り組まれている貴社で、常に向上心を持ちながら働きたいと考えております。(273文字)

キャリアアドバイザーから一言

実際のご利用者様からの声を聞いて訪問介護を志したのは自然な志望動機で好印象です。

経験を踏まえ、施設のスキルアップの取り組みに魅力を感じていることは、採用担当者にも十分伝わるでしょう。

訪問介護は体力も重視されるので、面接では、志望動機にプラスして体力があることもアピールできると良いですね。

7.未経験者①(新卒)の志望動機

私は、脳梗塞で要介護となった祖母の在宅介護、施設入所をきっかけに介護職を目指しました。

祖母は入所した際、初めは帰宅願望がかなり強く出ておりました。しかし、スタッフの方が丁寧に説明してくれたり、祖母の望みを叶えてあげる姿勢を感じられたおかげで、徐々に施設を第二の家だと思ってくれるようになりました。そのスタッフさんたちを見ていて、私もご利用者様から信頼され、家族の不安も取り除いてくれる存在になりたいと思うようになりました。

ご利用者様お一人お一人に寄り添い、決して焦らずにコミュニケーションを図ることを重視している貴施設で、信頼される介護士を目指したいと思っております。(288文字)

キャリアアドバイザーから一言

新卒の場合は、スキルをアピールすることが難しいので、なぜ介護職を目指したのかを具体的に伝えることが重要です。

さらに、その施設を選んだ理由を添えると、採用される可能性が高くなります。その際、施設の理念、教育体制、研修制度、資格取得支援制度など、施設が強みにしているポイントへの理解と共感を示すと良いでしょう。

8.未経験者②(他業界からの転職)の志望動機

これまでの接客経験を活かせることと、介護業界の将来性に魅力を感じ、志望いたしました。

私は約10年間、飲食店で勤務してまいりました。お客様から感謝されたときの喜びは言葉で言い表せないものがあります。しかし、他店との競争のなかで、売上優先・回転率の向上が最重要課題となってしまっている状況にもどかしさを感じていました。そこで、飲食店での経験を活かすことができ、ますます社会で必要とされる介護職を志すようになりました。

接客経験で培った臨機応変さや洞察力を活かし、貴施設の理念である「お一人お一人に寄り添う介護」を達成できるよう、研修などにも積極的に参加してスキルを磨いていきたいと考えております。(299文字)

キャリアアドバイザーから一言

介護業界の将来性(雇用の安定性)は、事業者側がアピールしたいポイントの1つでもあるので、他業界からの転職の場合は志望理由に含めていいでしょう。

家族の介護経験がある場合は、ぜひ盛り込んでみてください。面接では、接客を通して鍛えたコミュニケーションスキルをしっかり説明できると好印象です。

9.ブランクありの志望動機

子育てに専念するため、現場を5年間離れておりましたが、子育てが一段落つきましたので、改めて介護の現場でご利用者様のサポートがしたいと思い、志望いたしました。

子育てをしながら、介護と育児には通じるものがあることを実感しました。それは「焦らず、相手のペースに合わせること」です。介護と育児ともに、相手のペースに合わせ、相手の希望を叶えるために何をできるかを考えることが重要だと考えています。

貴施設のホームページを拝見し、「安心かつ丁寧な介護」という理念に強く共感いたしました。感覚を取り戻すまで少し時間がかかるかもしれませんが、1日でも早く戦力になれるよう、努力したいと考えています。(294文字)

キャリアアドバイザーから一言

介護と育児を重ね合わせて考えられているのは好印象です。他には、休職前に介護職としてのやりがいを強く感じたエピソードがあれば、介護業界に復帰したい理由にしてもいいでしょう。

また、休職する以前に得意としていた業務があれば、アピールポイントにもなるのでぜひ盛り込んでみてください。

10.生活相談員の志望動機

ご利用者様やご家族へのサポートをより幅広く行えることに魅力を感じ、貴施設の生活相談員を志望いたしました。

これまで5年間、介護職として2施設に勤務して参りましたが、ご利用者様やご家族と接する中で、その先頭に立って問題解決を図れる生活相談員になりたいと考えるようになりました。去年から、生活相談員になってから活かせるようにと、社会福祉士の取得のための勉強もスタートしております。

貴施設が大事にしている「職種間の連携」を意識し、常にご利用者様やご家族に寄り添い、問題解決を図れる生活相談員を目指したいと考えております。(260文字)

キャリアアドバイザーから一言

生活相談員を目指すきっかけは、面接でより細かいエピソードの内容を聞かれる可能性があるので、わかりやすく伝えられるようにまとめておきましょう。

応募要件に、社会福祉士や社会福祉主事任用資格、精神保健福祉士の資格を挙げている施設もあります。応募前にしっかり確認しておきましょう。

生活相談員としての経験がない場合は、資格の取得に向けて勉強をしているなど、志望度の高さを示せると好印象です。

11.ケアマネジャーの志望動機

貴施設の「お一人お一人に合わせたケアの実現」という理念に共感し、志望いたしました。

私はこれまで介護職として7年間勤務するなかで、それぞれのご利用者様の望む生活を実現するためには、お一人お一人に合わせたケアプランの充実が重要だと考えるようになりました。今年6月に介護支援専門員の資格を取得し、未経験ではありますが、ご利用者様とご家族に喜ばれるケアプランの作成を目指したいと考えております。

数多くのご利用者様やご家族と接する中で培ってきたコミュニケーション能力や根気強さを活かし、貴施設で活躍したいと考えております。(260文字)

キャリアアドバイザーから一言

施設の理念への共感と、介護職からケアマネジャーを目指す理由を盛り込めているので好印象です。

未経験の場合はどんなケアマネジャーを目指したいか、経験者の場合は自分の目指すケアマネジャーに近づくためにどうしたいのかを、施設の理念に合わせて伝えられるといいでしょう。

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