介護職として働く人の中には、日々さまざまな負担から「介護職、もう辞めたい……」と思っている人も少なくありません。この記事では、実際に介護職を辞めたい理由をじっくり掘り下げていきます。もう一度自分の働き方を見直してみてはいかがでしょうか?

あなたは何がつらい?介護職を辞めたい7つの代表的な理由

「介護職、もう辞めたい……」そんなふうに思う理由を大きく7つに分類し、体験談と、どうしてそんな状況が生まれてしまうかを解説します。

あなたの状況に近いのはどれですか?

【1】人間関係が最悪

体験談:不仲の人たちの揉めごとに巻き込まれる (老健・3年目)

介護職員が、他の職員の揉め事に巻き込まれて困っているイラスト

介護と看護のリーダー同士の仲が悪く、いつも職場はギスギス。そのせいで介護職と看護職が対立して「使えない」と悪口を言い合う状況で……。

私が医療面のことで看護師さんに質問しにいくと他の介護職にいい顔をされず、板挟みでつらいです。おまけにリーダーは気分屋で、機嫌が悪い時はちょっとしたミスで怒鳴ってくるのですが、誰もフォローしてくれません。

利用者さんたちは大好きだからできればこの仕事を続けたいんですが、毎日「辞めたい」って言葉が頭をよぎります。

職場の人間関係は、安心して働くためにもっとも大切な要素のひとつ。人間関係が悪いと「辞めたい」と感じる一因になります。

介護の職場は、年齢や性別はもちろん、これまでの職業経験や国籍までさまざまなバックグラウンドの人が働いており、考え方も多種多様です。そのため、意見の対立や仕事のやり方の違いがそのまま人間関係に悪影響を及ぼすことも。

とくに小規模な施設の場合は人間関係が閉鎖的になりがちで、一度「使えない人」「コミュニケーションが下手」などと決めつけられると、逃げ場がなくなってしまいます。

本来であれば人間関係の調整をすべき管理職も、人手不足で現場業務に忙しかったり、パート歴の長いベテラン介護職に意見ができなかったりと、マネジメントがうまくいっていないケースも少なくありません。

※介護職の人間関係の悩みについて詳しくはこちら→『【体験談あり】介護職にありがちな人間関係の悩みとは

【2】給料が低すぎる

体験談:給料が労働時間や労力に見合わない(グループホーム・5年目)

給料が少ないことを通帳を見て嘆く介護職員のイラスト

毎月必死で働いているのに、基本給が安くサービス残業も多いので、手取りは15万円程度。先輩から「資格を取ったり役職に就いたりしても、数千円しか上がらないよ」と言われてしまい、頑張って出世しようという気力も湧きません。

この前、同窓会でIT企業勤めの友人に聞いたら、自分の倍近くの給料だったので愕然としました。

仕事にやりがいはあるものの、これでは彼女との結婚も考えられません。本当に給料が安すぎて落ち込み、介護職を辞めて違う職種に転職すべきかと考えています。

自分の努力の成果が、給料という形で還元されないと、「何のために頑張っているのかわからない、もう辞めたい」と感じてしまうことも多いでしょう。

そもそも介護職(福祉施設介護職員)は平均年収346.6万円、ケアマネでも393万円と、全産業の年収500.6万円に対して給与水準が低い傾向にあります厚労省賃金基本統計、令和元年より。年収=月給×12+賞与として算出)。

そのため、とくに人手不足の職場では「労働時間の割に給料が低い」「仕事のハードさや責任の重さに給料が見合わない」と不満を持つ人も少なくありません。

国の処遇改善加算による賃上げで以前より改善されてきているとはいえ、施設が職員の給料に充てていないケースもあり、まだまだ十分とは言えないのが現状です。

【3】労働条件・労働環境が悪い

体験談:人手不足がひどい上、働く環境も微妙……(有料老人ホーム・8年目)

休憩スペースが狭く、ひっそりと休憩をとる介護職員のイラスト

うちの施設は人手が足りず、勤務時間の管理もめちゃくちゃで、最悪の労働環境です。施設長に「人を入れるか、業務効率化してほしい」と提案しても、「なんとか頑張って」と精神論しか言われません。

あとは男性用ロッカーが倉庫の一角に置いてあるせいでめちゃくちゃ狭く、ゆっくり休憩できないのも不満で……。正当に扱われていない感じがします。

ただ、労働時間が長い分、残業代で稼げてはいるんですよね。辞めたい気持ちはあるものの、決断を先延ばしにしているのは、介護職の中では給料が高いほうだと思うからです。

労働時間が長すぎる、休みをきちんと取らせてくれない、休憩室やロッカーの設備が不十分など、労働条件や環境の悪さも「辞めたい」と思う大きな理由のひとつです。

とくに人手不足の施設では、休日の数が少ないばかりか、せっかくの休日に「今日、人が足りないからすぐ来て」と呼び出されてしまうことも。また、休みの希望が通らない、2連休・3連休が取れないといった不満も多いようです。

休憩時間についても、時間中に利用者さんのケアをしたり、介護記録を書かなければならなかったりと、きちんと休めるような体制になっていないというケースもあるようです。

【4】体力・メンタル的にきつい

体験談:とにかく腰痛がきつい。利用者にメンタルも削られる(特養・12年目)

腰痛に苦しむ介護職員のイラスト

とにかく激務で、腰痛がヤバいです。ボディメカニクスの研修なども受けてはいるものの、小柄な自分の倍くらいありそうな利用者さんを受け持つこともあり、肉体的にとてもつらくなってきました。

しかも利用者さんの中に暴言がきつい人がいて、何度も酷いことを言われています。上司に相談しても「我慢して」の一点張り。相手は認知症の方だとわかっていても、「泥棒」呼ばわりされたり、「あなた嫌いだから他の人にして」と言われるとやっぱりつらい気持ちになります。

でも、辞めたくても転職活動をすることも考えられなくて……とにかく休みたいって感じです。

肉体労働的な側面のある介護職では、腰痛は職業病日本介護クラフトユニオンの調査では、介護職の56.9%が腰痛に悩んでおり、「辞めたい」と感じたり、さらには辞めざるを得ない原因となっているようです。

体の大きな利用者さんや介護度の高い方のトイレ介助、移乗のサポート、入浴介助といった負担で、ヘルニアなどを発症するケースもあります。

また、腰痛以外にも、夜勤や不規則な休みのせいで疲労が蓄積してしまい、慢性的に疲れがとれないという人も。

さらには行き過ぎた利用者ファースト主義によって、利用者さんやご家族の理不尽とも思える要求をのまざるを得ず、メンタルに影響をきたして「もう限界、辞めたい」と感じる人もいるようです。

【5】仕事内容が性に合わない

体験談:肉体的につらくない仕事を選んだら、やりがいがなかった(特養・3月)

仕事にやりがいを感じれていない介護職のイラスト

介護の仕事をよく知らずに始めてしまったのですが、この業界に飛び込んでから、実は高齢者のことがあまり好きではないことに気がついてしまって……。

寝ているだけだからラクだろうと、重度の利用者さんのお世話をする施設を選んでしまったのですが、あまり自分には向いていませんでした。

むしろ、もう少しコミュニケーションが取れる、軽度の方の多い施設に就職すればよかったです。毎日これといったやりがいも感じられず退屈で、辞めたいなと思っています。

介護職は求人数が多いこともあり、「誰にでもできる仕事だろう」と未経験でも気軽に転職する人もいます。ところが実際に働いてみたら、想定していたよりも大変で仕事の責任も重く、ギャップを感じて「辞めたい」と思うケースもあるようです。

また、「神経質でやや潔癖なので、ちょっとした食べこぼしも気になる」「短気な性格のせいで何度も聞き返してくる高齢者の相手が難しい」など、性格的な理由で「合わない」と感じる人も。

仕事内容は体験してみなければわからないことも多いため、実際に介護業界に飛び込んだあとに「合わないから辞めたい」と感じてしまっても仕方ないのかもしれません。

【6】経営方針・施設の理念が不満

体験談:経営者がとにかくお金にうるさい(有料老人ホーム・4年目)

経営者とそりがあわない介護職員のイラスト

今どき、どこの施設も資金繰りが大変なのは私も理解しているつもりです。それでも、できる限りは利用者さんやご家族の希望に沿った介護をしたいのに、上司は現場の声には一切耳を貸してくれません。この前もレクリエーションの改善案を提案したら「ムダだ」と一蹴されました。

しかも利益重視で、必要のないサービスまで営業しろと言ってくるので、ほとほと疲れ果てています。

結局、経営陣はお金のことしか考えていないんだと思うと、やりがいを感じられず、こんな施設はもう辞めたいな……と思ってしまいます。

施設の経営方針に不満を持ち、自分の理想とする介護を実践できない場合も「辞めたい」と思いがち。

利用者に寄り添った介護をしたいのに「非効率だからそんなに1人に時間をかけるな」と上司に言われたり、学校や研修で勉強したような介護を実践できないリアリティギャップでつらい思いをする、というのはよくある話です。

また、人手不足からサービスの質が低く、結局は利用者がすぐ退所してしまうのに、「どうせ他の利用者がすぐ入るから」と改善しようとしないなど、経営陣への反発から辞めたくなる人も少なくないようです。

【7】理想の働き方と違っていた

体験談:家族に合わせたシフトで働けない(老健・1年目)

家族と休みがあわない介護職員のイラスト

子どもの習い事や夫の仕事に合わせたシフトで働けるよう、面接のときに頼んでから入職した今の施設。口約束はなかったことにされ、こちらの希望を無視して勝手にどんどんシフトを入れられてしまいます。

あらかじめ絶対に出勤できないと伝えて休んだ日にも、「人手が足りないから来て」と電話がかかってきて、「本当に無理です」と断ると次の日から上司に無視されるようになりました。

通勤しやすい場所にあり、家庭と両立できると考えていたのですが、自分に合った働き方ができないのであれば辞めたほうがマシだなと思っています。

子どもがいるから時短で働く約束で就職したのに、結局は引き止められてフルタイムになってしまう、ステップアップのための研修があると聞いていたのに、研修に行こうとすると「それよりシフトに入れ」と言われてしまう……など、最初に理想としていた働き方が実現できずに「辞めたい」と感じてしまうケースです。

また、「夜勤が多く、人数が少ないなかで働くのは責任が重くて怖い」といった声も。

子どもが小さかったり介護が必要な家族がいたりする人は、仕事内容に不満がなくても、自分に合う働き方ができないと「もう辞めたほうがいいいかも」と感じる人もいるようです。

※介護職の転職失敗例について詳しくはこちら→『介護職によくある転職失敗談と、二度と失敗しないための対策

実際に介護職を辞めた人の理由は?

これまで「介護職を辞めたい」と思う理由を見てきましたが、実際に辞めた人にとって、退職の決め手となったのはどんな理由なのでしょうか?

介護職に就いている人が前職を辞めた理由は、男女別で以下の通りです(複数回答)。

介護職を辞めた理由の表:男女別。男性の1位は「将来の見込みが立たなかった」26.9%。女性の1位は「結婚・妊娠・出産・育児」30.8%。
出典:『令和2年度 介護労働実態調査』(公益財団法人介護労働安定センター)よりWe介護編集部で作成

女性の退職理由1位は「結婚・妊娠・出産・育児のため」で、職場でよく聞く理由もこちらではないでしょうか。

男性の退職理由1位は将来性に関する理由で、介護職のままではキャリアやライフプランに問題が生じると考えて転職するようです。

また、人間関係は男女ともに2番目に回答する人が多く、「辞めたい」理由と重なっています。

一方、「自分には向かない仕事だったため」など、介護の仕事自体が嫌になって辞めたという人は実はそう多くはありません。仕事にはやりがいを感じている方が多いのかもしれません。

介護職として働いている方は、責任感が強い人も多く、「介護職を辞めたい」と悩んでいても「こんな理由で辞めてはいけないかも」と感じるケースも少なくないようです。

しかし、実際には人間関係や職場に対する不満で辞めている人も多いのです。

介護職を辞めるべきか悩んだら

「介護職、もう辞めたい」と思っていても、「こんな理由で辞めてもいいのかな」「我慢が足りないと思われるんじゃないか」と不安に思う人もいますよね。

そこで、転職を考えている人に向けて、状況別に辞めないほうがいい人・辞めても仕方がない人を紹介します。

すぐには辞めないほうがいい人

【介護職をすぐには辞めない方がいい人】今の給料が高い人・短期間で何度も転職している人・入社前と今とで働く条件が違う人

1. 現職で長く働いており、給料が高い人

現在の職場で長く働いており、それなりに基本給が上がっていたり、役職に就いていたりする人は、不用意に転職すると給料が下がってしまう可能性があります。

辞めたいと思っても、自分の給料がキープできる職場がありそうかをじっくり検討し、転職先を決めてから退職するようにしましょう。

キャリアアドバイザー

たとえば「管理職で月給35万円もらっている」というような方は、もし辞めて他の施設に移るのであれば一旦は給料が下がることを覚悟したほうがよいかもしれません。

2. 短期間で転職を繰り返している人

介護職は転職回数が多い人も比較的転職先を見つけやすい傾向にありますが、1~2ヵ月ごとに何度も転職しているような場合は一度立ち止まってみましょう。

もう少し頑張って、半年以上の経験を積んでから転職したほうが、働きやすい職場を見つけやすいかもしれません。

キャリアアドバイザー

たとえば職歴の中に一度でも長く働いた経験があれば、他の経歴が多少短くてもなんとかなります。

今の施設は1月でギブアップしそうだけど、その前の施設では1年以上働いた、などのケースなら極端に不利にはなることはありませんので安心してください。

3. 入社前に聞いていた労働条件と実際の条件が違う人

「入社前に聞いていた労働条件と、実際に働いている条件が違う。すぐに辞めよう」と考えている人は要注意。万が一誤解だった場合に、いたずらに転職回数を増やすことになってしまうからです。

まずは人事や総務の担当者に、「入社時の契約では○○手当がつくはずですが、給与明細に載っていません。確認していただけますか?」などと聞いてみましょう。対応してくれなかったら、本格的に転職を検討してOKです。

キャリアアドバイザー

もし一緒に働く同僚が「うちはボーナスないよ」と言っていても、必ず人事や総務の担当者に確認しましょう。

介護の職場ではみんなが同じ雇用形態とは限らず、働く条件が違っている可能性があるからです。

辞めても仕方ない人

【介護職辞めてもいい人】半年以上の介護経験がある人・20~30代の若手・資格を持っている人

1. 半年以上の介護職経験がある人

介護職では、半年~1年以上働いた経験があれば、転職するための職歴として一定の評価が得られます。「辞めたい」と感じる問題が解決できる次の職場に移れるでしょう。

もちろん、介護職として働いた経験が長ければ長いほど、転職活動時に評価されます。

2. 20~30代の若手

介護職の経験が浅い人であっても、20~30代の若手であれば歓迎されることが多いのが介護業界です。若ければ若いほど、条件のよい転職も叶いやすいので、動き出すのは早めのほうがいいかもしれません。

かといって、年齢が高い人でも不利になることはあまりありません。介護業界は、40~50代が未経験で転職してくることも多いため、「経験年数はあるのに年齢がネックで採用されない」というケースは少ないでしょう。

3. 資格を持っている人

介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの資格を持っている人であれば、たいていの場合転職先が見つかります。

どこの施設でも資格を持っている人を常に探している状況なので、たとえば一般企業では採用されにくい50代でも、介護の資格があれば好条件で転職できる可能性があります。

キャリアアドバイザー

介護業界は慢性的に人手不足なので、常にたくさんの求人が出ており、若手でもベテランでも転職しやすい傾向にあります。

ただし、それでも転職先を決めないまま突発的に辞めてしまうのはNG。退職前に転職先を決めておき、働いていない期間を作らないほうが、健康保険や年金などの手続きもスムーズです。

早めに辞めるべきヤバい施設の条件

今の職場を辞めるかどうかは、自分の辞めたい気持ちや、辞めてもいい状況かどうかによって決めるのがベター。

ただし、もし以下のような状況の施設で働いている場合は、無理な働き方で体を壊してしまう可能性もあるので、できるだけ早く退職を考えましょう

1)法律を守っていない施設

  • 労働基準法を守らずにスタッフを働かせている

例:週1日・4週間を通じて4日の休日を守っていない、原則1週40時間、1日8時間の労働制限を守っていない、夜勤を宿直扱いにする、月に10日以上夜勤させる、サービス残業をさせるなど

  • 介護報酬を不正請求している
  • 介護職に認められていない医療行為をさせている

例:摘便、インスリン注射など

2)介護職員処遇改善加算をつけていない

  • スタッフの給料を上げる気がない施設

3)上司や管理職に相談しても対処してくれない

  • 利用者からの暴力・暴言やセクハラを相談しても対処しない
  • スタッフ同士の揉め事を仲裁しない

(参考)
令和2年度 介護労働実態調査』(公益財団法人介護労働安定センター)