職務経歴書とは、これまでの仕事の経験やスキルを紹介する書類です。介護職の職務経歴書は、シンプルな内容でOKです。基本項目さえ押さえれば、難しく考える必要はありません。職務経歴書の書き方を、介護職の転職を支援してきたキャリアアドバイザーのコメントも踏まえて解説します。
これだけでOK!介護職の職務経歴書サンプル
介護職の職務経歴書は、手書きでもPCでも、作りやすい方で構いません。見本にある基本項目を押さえ、シンプルにわかりやすく作りましょう。
この記事では、手書きする場合を中心に紹介していきます。
介護職の職務経歴書|基本ルール
介護職に応募する職務経歴書を書く場合は、大切なのは以下の3つです。
ポイントを押さえたうえで、基本的なルールを解説していきます。
A4用紙2枚に収めれば手書きでもPCでもOK
職務経歴書に決まったフォーマットはありません。A4もしくはB5サイズの用紙2枚以内に収めましょう。
介護職の場合、職務経歴書は手書きでも、PCで作ってもOK。自分が作りやすい方を選びましょう。
介護職の職務経歴書は、手書きで作る人が多いようです。
「手書きだと落ちる」「PCは印象が悪い」など、採用の合否に大きく影響することはありません。
手書きの場合
職務経歴書を手書きする場合は、黒のボールペンを使い、丁寧な文字で書きましょう。
職務経歴書の用紙は、コンビニや文房具店で履歴書とセットで買うことができます。
PCの場合
こちらからダウンロードしたフォーマットを使い、わかりやすくまとめましょう。
文字の大きさを変えたり、太字を使ったりしても構いません。ただし、カラフルにするのはNGです。
見やすい職務経歴書を作れば、PC操作に慣れていることのアピールにもなります。
職務経歴書には「編年体」「逆編年体」「キャリア式」の3つのフォーマットがありますが、介護職の方は、編年体で作ることが多いようです。
- 編年体
- 古い勤め先から時系列順にまとめる。もっとも一般的。
- 逆編年体
- 直近の勤め先から古い方にさかのぼる。ベテランや、他の仕事から介護職に転職する人向け。
- キャリア式
- 経験した職種ごとにまとめる。介護職以外の経験が多い人向け。
この記事でも、「編年体」の書き方を紹介します。
施設名や資格は正式名称を書く
職務経歴書には、勤め先の施設名や法人名、資格などは必ず正式名称で書きましょう。
施設の種類も「特養」「有料」などと略さず、「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」などと書きます。
もし勤め先の正式名称がわからない場合は、下記の方法で調べることができます。
- 勤め先の施設名
- 施設のホームページから確認
- 法人名
- 施設のホームページから「企業情報」のページに飛んで確認
また、資格の正式名称は以下の通り。
【介護関連資格の正式名称】
採用担当者が見ているポイント
介護職の職務経歴書で、採用担当者が見ているポイントは以下の3つです。
職務経歴書はわかりやすくシンプルなものを、丁寧に作ることが大切です。
また、ケアマネなど一部の職種に応募する場合以外は、凝った職務経歴書を作るよりも、面接の準備に時間をかけるほうがベター。
なお、介護職では応募書類が履歴書のみで、職務経歴書は必要ないことも多いようです。
介護職の職務経歴書|項目別の書き方
職務経歴書の項目ごとの書き方を紹介します。
日付・名前
日付は、提出する日(面接に持っていく場合は面接日、郵送の場合はポストに入れる日)を記入します。
西暦(20xx年)か和暦(令和x年)かはどちらでもOKですが、書類全体で統一しましょう。
氏名は、本名をフルネームで記入します。仕事で旧姓を使いたい人は、職務経歴書には今の名字を書いた上で、面接時に相談しましょう。
職務経歴
職務経歴には、以下の内容を時系列順に書いていきます。
基本の書き方はどんな仕事でも共通ですが、介護職以外の経歴を書く場合は、③所属した施設等の代わりに⑦事業内容を入れます。
- 在籍期間
- 勤務先の法人の正式名称
- 所属した施設の正式名称、入居者数(介護施設などの場合)
- 勤務職種
- 雇用形態
- 業務内容
- 勤務先の事業内容(介護施設以外の場合)
①在籍期間
「昭和/平成/令和◯年◯月」からいつまで勤めたのかを書きます。
直近の勤め先にいつまで在籍しているかは、現在どこにも勤めていなければ「~令和◯年◯月」、現在も勤めている場合は「~現在」、退職予定日が決まっている場合は「~令和◯年◯月(退職予定)」と書きます。
②勤務先の法人の正式名称
「社会福祉法人」「医療法人」「株式会社」なども省略せず、正式名称を書きます。
正式名称がわからない場合は、施設のホームページから「企業情報」のページに飛んで確認してみましょう。
③所属した施設の正式名称、入居者数(介護施設等の場合)
どの施設に勤めていたのかを書きます。その施設の規模がわかるように、入居者数もできるだけ書き添えましょう。
また、同じ法人で別の施設や部署に異動した場合は、その経歴も書きましょう。
④勤務職種
「介護職」「ケアマネジャー」など働いてきた職種を書きます。
もし「チーフ」「リーダー」「課長」などの役職についていた場合は、こちらに「チーフ(メンバー◯名)」などと記載します。
⑤雇用形態
「正社員」「パート」「アルバイト」など、どんな働き方をしていたかを書きます。
介護職の経験は、パートやアルバイトなどの非常勤であってもぜひ書いておきましょう。
⑥業務内容
主にどんな業務を行っていたかをできるだけ具体的に書きます。
「要介護度3~5の方が入居」「メンバー◯人に対するリーダー業務」など、もし具体的な数字を入れられる業務があれば積極的に入れてみましょう。実績を強調できます。
⑦勤務先の事業内容(介護施設以外の場合)
介護施設以外の会社に勤めていた経験を書く際は、なんの会社なのか、どんな商品やサービスを扱っていたのかを書きましょう。
転職サービスを使っている方は、わからないことは担当者に相談してみましょう。
自己PR
自己PR欄では、自分が介護職として働く上での強みを経験や実績とともに書きます。
具体的には、
- これまでの経験や実績、スキルの要約
- アピールポイント、強み
- 今後やりたいこと、キャリアプラン
をそれぞれ2~3行程度ずつ書きましょう。全体で6~8行程度(300文字以内)でまとめればOKです。
例えば、以下のようなポイントに自分なりのエピソードを加えれば「自己PR」になります。
【自己PRの例】
介護職の職務経歴書|ケース別・自己PR例文集
職務経歴書に書く自己PRの例文を、ケース別に紹介します。
入所系介護施設の介護職に応募
私はこれまで2つの有料老人ホームで、合計5年に渡って介護職として勤務してまいりました。そこで身につけた傾聴力が私の強みです。
ご入居者様のささいな不安や心配ごとにも気がつけるよう、食事介助など日々のちょっとしたコミュニケーションの中でも小さな質問を投げかけ、傾聴に努めています。また、ヒアリングした内容はスタッフ間で共有し、連携してより良いサービスを実現できるように努力してまいりました。
これからもこの経験を活かして、ご入居者様に喜ばれるよう生活をサポートしていきたいと考えております。
(242文字)
通所系(デイサービス)の介護職に応募
私の強みは、段取りよく業務を進められることです。
私はこれまで3年間、特別養護老人ホームに介護職員として勤務し、主に身体介助が必要なご入居者様のサポートを行ってまいりました。特養では、食堂への誘導から食事介助、服薬管理など、入居様の1日の流れがスムーズになるよう、他のスタッフと声を掛け合いながら先回りで準備できるよう工夫してまいりました。
デイサービスでは特養以上に時間の管理も大切になると思いますので、ぜひこの強みを生かして働いていきたいと考えております。
(228文字)
訪問系の介護職に応募
私はこれまで1年半に渡って、非常勤の訪問介護職員として働いてきました。
訪問介護はご利用者様の自宅での生活をどのように豊かにできるかを考えながら支援する、とてもやりがいのある仕事です。私は主婦経験も長いため、食事や洗濯、掃除などご利用者様がどのような点で難しさを感じるのか、どうしたら便利に暮らせるのかをさまざまな角度から考えてサポートしてきました。
この強みを生かして、今後もお一人お一人のご利用者様に合った、個別のケアを実践していきたいと考えています。
(224文字)
ケアマネジャー(介護支援専門員) に応募
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどで8年に渡って介護職員として勤務し、前職の有料老人ホームでは2年間、ケアマネジャーを務めました。
私が働く上でもっとも大切にしているのはご利用者様や家族様との信頼関係です。ご要望をヒアリングし可能な限り寄り添うことだけでなく、叶えられない要望はその旨を率直にお伝えしてまいりました。
誠実に接することに務めた結果、ご利用者様だけでなくご家族からも信頼していただけるようになったと自負しております。
これからも、ご利用者様・ご家族の要望を最大限尊重しつつ、現実的なケアプランに落とし込むことで、より良い生活のお手伝いができるよう務めたいと考えております。
(292文字)
介護施設の生活相談員に応募
私はこれまで3年間に渡り、特別養護老人ホームの介護職員としてご利用者様の生活全般の介助を行い、その後は1年間、生活相談員として働いてまいりました。
その中で私が培ったのは、ご家族からのクレームに対応する調整力です。私は日頃から介護スタッフたちとの情報共有を行い、トラブルになりそうな問題は早い段階からご家族に相談し、解決してまいりました。その結果、ご家族からのクレームの件数を従来よりも2割減らすことができました。
これからも情熱を持って仕事に邁進していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(252文字)
介護職未経験で介護職に応募
私はこれまで5年間にわたって、接客の仕事に携わってきました。私の強みは、持ち前の明るさと接客業で培ったコミュニケーション力です。
前職の和菓子屋では、さまざまな年代のお客様に明るく元気な接客をすることを心がけておりました。また、常連のお客様の好みや、以前に来店された際の会話内容を覚えておき、それをもとに積極的にお声がけすることで売上につなげることができました。
介護は未経験ですが、長年の接客業で培ってきたコミュニケーション力は必ず役立てられると考えております。
(230文字)
※自己PRの例文集はこちら→『介護職の自己PRの例文&ポイント | 受かる自己PRがすぐ書ける!』
介護職の職務経歴書|よくあるお悩みQ&A
介護職の職務経歴書を書く場合のよくある疑問と答えをまとめました。
Q:転職回数が多い場合は?
A: 転職回数が多い場合も、職務経歴書の経歴欄にはすべての経験を書くのが基本です。
もし、職務経歴書の用紙におさまりきらない場合、10年以上前の経験や、介護職以外の経験は、「在籍期間」「勤め先の法人名」「職種」のみにまとめても構いません。その代わり、介護職の経験を詳しく書きましょう。
また、あまりに短期間で転職を繰り返している場合は、自己PRなどで長く勤めた経験(3年以上が目安)があることをアピールするとよいでしょう。
Q:働いていない期間がある場合は?
A: 働いていない期間がある場合も、職務経歴書には働いていた期間のことだけを書けばOK。
介護職に応募する人は出産や子育てなどでブランクがある人も多いため、それだけで転職にマイナスになることはありません。
Q:介護職の経験がパートのみの場合は?
A: 介護職の経験がパートのみの場合は、経歴欄に「(雇用形態)パート」と書けばOK。
職務経歴書で介護職未経験と思われるよりも、パートであっても介護職の経験をアピールしたほうが好印象を与えられます。
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