介護福祉士ってどんな資格?あってもなくても仕事内容って変わらないんじゃないの?など、介護福祉士にまつわるギモンがまるっと解決します。
介護福祉士とは?仕事内容は?
介護福祉士とは、介護職として必要な知識やスキルを証明する国家資格です。「社会福祉士及び介護福祉士法」で定められています。
介護福祉士の基本的な仕事は、身体が不自由だったり精神に障害があって、自分の力だけでは生活するのが難しい人に対して身体介助や生活援助など、日常生活の支援を行うことです。
高齢者がその人らしくいきいきと生活できるよう、高齢者やその家族のニーズを見極めながらサポートを行います。また、他の職種のスタッフとも連携しながら介護の現場を引っ張っていく指導的な役割も期待されています。
さらに、介護福祉士の資格があることによって、施設の生活相談員や、訪問介護のサービス提供責任者などの役職を務められるようになります。
介護の資格には介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修など、さまざまなものがありますが、そのなかで介護福祉士は唯一の国家資格です。
試験勉強は大変ですが、介護業界におけるキャリアの到達点として、年間約6万人が取得しています。
介護福祉士の仕事内容は?
介護福祉士の仕事内容そのものは、介護福祉士の資格を持っていない介護職とほとんど変わりません。
ただし、介護福祉士は介護のプロフェッショナルとして、より広い視野でのケアを実践することが期待されています。
たとえば家庭での介助についてご家族の相談に乗ったり、医師や看護師など他の職種や地域との連携をサポートすることも、介護福祉士の資格を持っていないときに比べて多くなります。
また、介護福祉士の資格があることによって、他のスタッフをまとめたり、ケアマネジャーや看護師、医師、PT、OTなどさまざまな職種との連携を取る役割を担うことも多くなります。
職場によっては、リーダーや主任などの役職は、介護福祉士の資格がないと務められないことも多いようです。
※身体介助・生活援助など、具体的な業務内容については、『介護職の仕事内容とは? 給料や資格についても徹底解説』にて詳しく解説しています
介護福祉士の資格があるとなにが変わる?給料は?
無資格の人や、初任者研修・実務者研修しか持っていなかった人が、介護福祉士の資格を持つことで、主に給料やキャリアの面で変化があります。
給料は大幅アップが期待できる
介護福祉士を持っていると、持っていない人に比べて給料アップが期待できます。
たとえば介護福祉士の資格を持っている人と、初任者研修・実務者研修の資格しかない人では、月給にして5万円もの差が出ることも。
下記は介護福祉士を取得して、月給がアップした人のモデルケースです。
まず大きいのは資格手当です。介護福祉士が1万5,000円程度もらえるのに対して、初任者研修は5,000円、実務者研修は1万円など、かなりの差があります。
また、施設によっては介護福祉士の資格が、処遇改善手当をもらえる条件となっていることも多いようです。
さらに、介護福祉士を持っている人は、そもそも基本給がアップすることも。基本給が上がればボーナスも上がりやすくなるので、年収全体で考えるとかなりのアップが期待できます。
給料の金額や資格手当、役職手当は、施設形態や地域、法人によってさまざまですが、介護福祉士の資格があると総合的に給料がかなり高くなると言えます。
キャリアアップできる
介護福祉士の資格を持っていることで、職場でキャリアアップがしやすくなります。
職場によってはリーダーや主任を任されるのは介護福祉士のみだったり、管理職を目指すために介護福祉士が必須ということは少なくありません。
また、生活相談員やサービス提供責任者などのポジションも、介護福祉士を持っていることが条件の自治体が多いので、そういった仕事にトライすることもできるようになります。
転職で圧倒的に有利になる
介護福祉士の資格があると、無資格の人や、初任者研修、実務者研修しかない人に比べて、転職で圧倒的に有利になります。
そもそも施設・事業者側は、できるだけ介護福祉士の資格を持っている人を採用したいと考えています。なぜなら施設がスタッフの一定比率を介護福祉士が占めていることで、介護報酬に加算が付くからです。
とくに特養や老健では、「介護福祉士の比率がギリギリなので、どんなに有能でも介護福祉士以外は採用できない」というケースもあるようです。
また、「今の職場ではリーダーになるのが難しいから、任せてもらえるところに転職したい」などの場合も、介護福祉士の資格があることで有利な転職がしやすくなります。
介護業界で3年以上働いており、介護福祉士の受験資格を満たすだけの実務経験がある人は、できるだけ早く介護福祉士を取得するのがオススメです。
「実務経験の長いベテランなのに、なぜか介護福祉士を持っていない」となると、転職時に採用担当者から「やる気がない人なのかな」「何回も資格試験に失敗しているのかな」などと余計な心配をされ、マイナス評価につながってしまいかねません。
もし転職やキャリアアップに興味がなくても、早く資格を取るほど早く給料がアップするのでオトクですよ。
介護福祉士の資格取得の方法は?
介護福祉士の資格を取得するには、年に1回行われる国家試験に合格する必要があります。
試験の受験資格として、実務経験などを求められるため、しっかり確認しておきましょう。
介護福祉士の受験資格を取得する4つのルート
介護福祉士を目指すには、以下の4つのルートがあります。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
- 経済連携協定(EPA)ルート
②養成施設ルート、③福祉系高校ルートは、それぞれ学校を卒業(修了)することで、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
また、④経済連携協定ルートは、介護施設で働くために来日したフィリピン人・ベトナム人・インドネシア人向けの受験資格です。
ここでは受験者の約9割が選んでいる、①実務経験ルートについて解説します。
実務経験ルート
介護福祉士になるための実務経験ルートは、介護職としての現場で実務経験を積むことで受験資格を得る方法です。
受験資格は以下の2つです。
なお、上記の条件は試験を受ける年の3月31日までに満たせる見込みであればOK。試験を受ける時点では実務経験年数や働いた日数が足りていなくても受験することができます。
また、実務経験ルートでは、実技試験は免除となります。
実務経験ルート②の条件のひとつである「介護職員基礎研修」は、「介護職員初任者研修」と名前が似ていますが異なる資格です。2012年度末(平成24年度末)に廃止されているので、これから取得することはできません。
介護福祉士の試験概要
介護福祉士国家試験は、毎年1~3月にかけて実施されています。受験手数料は18,380円です。
次回の試験日程は以下のとおりです。
第35回(2022年度)試験
受験申し込み受付期間:
令和4年(2022年)8月10日(水)~9月9日(金)
筆記試験:
令和5年(2023年)1月29日(日)
実技試験:
令和5年(2023年)3月5日(日)
合格発表:
令和5年(2023年)3月24日(金)14時
筆記試験は、以下の11の科目群から、125問が出題されます。5つの選択肢から1つの正解を選ぶ5択形式で、マークシートに記載します。
試験科目
- 人間の尊厳と自立、介護の基本
- 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
- 社会の理解
- 生活支援技術
- 介護過程
- こころとからだのしくみ
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- 医療的ケア
- 総合問題
合格基準は以下の通り。
1.全体の60%程度の問題に正解している
2.上記の11の科目群で、それぞれ1問以上正解している
なお、1の基準については、問題の難易度によって例年、調整が入ります。
第34回介護福祉士国家試験(2022年実施)の合格率は、72.3%。例年およそ7割程度の受験者が合格します。
介護福祉士は、国家資格のなかでは難しくないほうと言われているものの、3割の人は不合格になると考えると、やはり試験までにはしっかりと対策しておきましょう。
We介護の過去問題集も参考になりますよ。
まとめ
介護福祉士は、介護職として長く活躍したいならぜひ取っておきたい資格です。
今、介護職として働いている人は、実務経験年数が3年になるタイミングを狙って試験に申し込んでみてはいかがでしょうか。
(参考)
『第34回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移』(厚生労働省/令和4年)
『第34回介護福祉士国家試験 養成施設等別合格率』(厚生労働省/令和4年)
『介護福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)』(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
『第34回介護福祉士国家試験合格発表』(厚生労働省/令和4年)