介護保険のスペシャリストであるケアマネジャー(介護支援専門員)の給料はどのくらい?と気になる方に向けて、平均年収、平均月給、施設形態別の給料を解説します。
ケアマネジャーの平均年収・月給は?
厚生労働省や介護労働安定センター、We介護転職の求人データを基に算出したケアマネジャーの平均年収、平均月給を紹介します。

出典:『令和3年度介護従事者処遇状況等調査』、『令和3年度介護労働実態調査』、『令和2年賃金構造基本統計調査』、We介護転職の求人情報などをもとに編集部にて算出
ケアマネジャーの平均年収は340万円〜510万円、平均月給は23万円〜36万円です。介護業界に限らずどの産業、どの職種でも言えることですが、経験年数や地域、保有資格によって年収や月給は異なります。
気になる手取り金額ですが、健康保険や雇用保険などの社会保険料、所得税や住民税などの税金が給料から引かれるため、額面の約75%~80%という場合がほとんどです。
年収340万円〜510万円、月給は23万円〜36万円からそれぞれ計算すると、年収は手取りで270万円〜405万円、手取り月給は18万5,000円〜29万円となります。
ケアマネジャーのボーナス額
ケアマネジャーの平均ボーナス額を紹介します。こちらの金額も、厚生労働省や介護労働安定センター、We介護転職の求人データを基に算出した金額です。

出典:『令和3年度介護従事者処遇状況等調査』、『令和3年度介護労働実態調査』、『令和2年賃金構造基本統計調査』、We介護転職の求人情報などをもとに編集部にて算出
ケアマネジャーのボーナスは50万円〜70万円となっています。
ボーナスがもらえるかどうか不安な人もいるかもしれませんが、安心してください。
令和3年度介護労働実態調査によると、70以上%のケアマネジャーがボーナスについて職場で「制度として賞与の仕組みがある」または「経営状況によって支払われることもある」と答えています。
100%ではないので、転職をする際は求人情報にボーナス(または賞与)の有無の記載を確認しておくようにしましょう。
勤務施設形態別 ケアマネジャーの給料(月給)
施設形態 | 平均給与額 |
---|---|
特別養護老人ホーム(特養) | 41万230円 |
介護老人保健施設(老健) | 38万4,260円 |
特定施設入居者生活介護事業所(介護付き有料老人ホームなど) | 37万210円 |
介護医療院 | 36万8,870円 |
通所リハビリテーション事業所 | 36万3,640円 |
認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム) | 35万3,730円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 34万7,810円 |
訪問介護事業所 | 33万3,480円 |
通所介護事業所(デイサービス) | 31万7,190円 |
出典:『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果』(厚生労働省)よりWe介護編集部で作成
勤務施設別のケアマネジャーの月給は、特別養護老人ホーム(特養)が最も多く41万230円、次いで介護老人保健施設(老健)が38万4,260円、特定施設入居者生活介護事業所(介護付き有料老人ホームなど)が37万210円と続きます。
なお、これらの金額は額面なので、手取り金額は75~80%程度だと理解しておきましょう。
ケアマネジャーとほかの職種の給料比較(月給)
職種 | 月給 |
---|---|
ケアマネジャー | 23万円~36万円 |
ヘルパー(訪問介護職員) | 18万円~30万円 |
サービス提供責任者 | 22万円~35万円 |
生活相談員・支援相談員 | 22万円~36万円 |
看護職員 | 28万円~38万円 |
※経験年数や保有資格、雇用形態、地域などによって異なります
出典:『令和3年度介護従事者処遇状況等調査』、『令和3年度介護労働実態調査』、『令和2年賃金構造基本統計調査』、We介護転職の求人情報などをもとに編集部にて算出
ケアマネジャーは、介護業界のほかの職種に比べると給料(月給)が高い水準にあります。
その理由としては、ケアマネジャーが、介護職やサービス提供責任者、生活相談員などにとってキャリアアップとして目指す職種であるということが挙げられます。
看護師と比べるとやや低い傾向にはありますが、ケアプラン作成などの業務を担い、介護保険サービスの柱ともいえるケアマネジャーという職業は一定の評価を受けていると言えるでしょう。
ケアマネジャーが給料をアップさせる方法
ケアマネジャーが給与を上げるためできる4つの方法を紹介します。

経験年数、勤続年数を積む
まず挙げられるのが、経験年数や勤続年数を積み上げることです。
介護業界のどの職種でもいえることですが、年齢が給料に影響することは少なく、基本的には経験年数によって給料が決まります。これはどの法人や事業所にも言える特徴かもしれません。
また、1つの法人に長く勤めることも給料アップには効果的です。勤続年数が長いということは、その法人への貢献度合いが高いということでもあるため、給料が上がりやすい傾向があります。
管理者を兼務する
介護施設、居宅介護支援事業所のどちらに勤めるかにかかわらず、施設長などの管理者も兼任すると給料がアップしやすい傾向があります。
担当件数や業務の調整や主任ケアマネジャーの資格が必要になることもありますが、管理者の給与形態が適用されるため、月に数万円程度の給料アップが望めます。

ケアマネとほかの職種の兼務については、地域やサービス形態によって制限されているケースがあったり、人員基準における常勤換算に含まれないケースもあります。兼務を希望する場合、まずは勤務先に確認を取り、兼務が可能かどうかを確認してみましょう。
主任ケアマネの資格を取る
主任ケアマネの資格を取ることで、資格手当として5,000〜1万円程度の給料アップが望めます。
主任ケアマネの資格は試験がなく、研修を受講するのみで取得することができます。専任のケアマネジャーとして5年以上の実務経験が必須なので、その要件を満たしている場合は、主任ケアマネを目指すことをおすすめします。
現場の介護業務を兼務する/夜勤に入る
介護施設でケアマネジャーをしている場合は、現場業務を兼務し、夜勤にも入ることで給料を上げられる可能性があります。体力的に問題なければ、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
夜勤に1回入ると、夜勤手当として5,000〜8,000円程度が上乗せされます。
勤めている法人で給料アップが見込めなくてお困りの場合は、転職がその解決策になるかもしれませんよ。

転職をすることも、給料アップにつながる1つの方法です。
ただし、給料交渉を求職者自身で行うことは難しい場合が多いので、給料などの条件面の交渉を代わりに行ってくれる転職エージェントの利用もおすすめです。
ケアマネジャーは処遇改善加算・特定処遇改善加算の対象外
介護業界には、処遇改善加算と特定処遇改善加算があります。
処遇改善加算は2012年、特定処遇改善加算は2019年に創設されました。この2つの加算は介護職の給料をアップさせるためのものです。
※処遇改善加算・特定処遇改善加算について詳しくはこちら→『処遇改善加算・特定処遇改善加算とは? 介護職の給料アップは実現したのか』
ケアマネジャーの給料も処遇改善加算と特定処遇改善加算の創設によって引き上がることが期待されましたが、ケアマネジャーは利用者さんへの介助業務を行わないため、支給の対象外となりました。
介護支援専門員協会(ケアマネ協会)などの団体が、ケアマネジャーもこれらの加算の支給対象に含めるよう声をあげているので、今後の動向に注目しましょう。
(参考)
『令和3年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査結果報告書 』(公益財団法人 介護労働安定センター)
『令和3年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書 』(公益財団法人 介護労働安定センター)
『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果』(厚生労働省)
『令和2年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)』(厚生労働省)
『衆議院議員長妻昭君提出「国家資格」及び「民間技能審査事業認定制度による資格」に関する質問に対する答弁書』(衆議院)