「介護職って大変だと聞くけど、どんなやりがいがあるんだろう?」と思っている方も多いのではないでしょうか。当記事では体験談を踏まえて、未経験の方にもわかりやすく介護職のやりがいと魅力をご紹介していきます。

介護職のやりがい3選

「介護職をやってみたいけど、大変そう。どんなやりがいがあるのか知りたい……」という方は少なくありません。

そこで、多くの介護職の方が挙げる3つのやりがいを紹介します。介護の仕事が未経験の方でも、働き方をイメージしやすいよう先輩の体験談をご紹介しますので、参考にしてみてください。

(1)利用者さんやご家族から感謝される

介護職のやりがいとして真っ先に挙げられるのが、「人から感謝されること」です。

仕事をするからには、誰かの役に立ちたいと考えている人も多いのではないでしょうか。介護は、利用者さんやそのご家族とのかかわりのなかで「ありがとう」という言葉をもらえる機会が多く、人や社会に貢献できているという実感を得やすい仕事です。

それでは、具体的にはどのようなときに利用者さんに感謝されるのでしょうか? 2つの体験談をご紹介します。

体験談① 笑顔を見せてくれるようになった利用者さん

介護職のやりがいエピソードのイラスト(1)

デイサービスで働き始めた頃、イベントやゲームなどのレクリエーションが嫌いな利用者Aさんがいました。Aさんは人見知りなのか、ほかの利用者さんが声をかけても知らんぷりをしてしまいます。そのため、Aさんが来所されるときには不穏な空気になってしまい、ほかの利用者さんが怒り出してしまうことも……。

そんなとき、送迎時に顔を合わせたAさんのご家族から、Aさんはピアノを弾くのが好きだと教えていただきました。そこで私が、Aさんに「デイサービスにあるピアノで、何か弾いていただけませんか」と提案してみると、とても上手に何曲か弾いてくださいました。

Aさんはそれから、徐々にピアノの伴奏などでレクリエーションに参加してくださるようになりました。Aさんと私はすっかり打ち解けて、「あなたがいる日は楽しいわ、ありがとう」と言ってくれます。私にできることはないかも……と落ち込んだこともありましたが、Aさんの笑顔を見ていると、心から感謝されていることが実感できてやりがいを感じました。(介護職3年目・女性)

体験談② 看取り後、感謝してくれたご家族

私は特別養護老人ホームに勤めています。特別養護老人ホームは、利用者さんが入居してからお亡くなりになるまでの生活を支える施設です。

数年前、ある利用者Bさんを看取ったのですが、その前夜、すでにほとんど食事もできなかったBさんが「ハンバーグが食べたい」と仰ったので、急いでご家族に相談しました。看護師さんにも相談し、固いものを噛めないBさんでも食べられるように、とろみをつけたソースとペースト状にしたお肉を、ほんの少量ですがBさんのお口に運びました。それがBさんにとって最後のお食事でした。

ご家族も「最後に好きなものを食べさせてあげられて良かったです」と涙ながらに見守っていました。Aさんが息を引き取って、「あなたのこと、とても好きなスタッフだと言っていました。ありがとうございました」とご家族から言われたとき、この仕事をしていて良かったと実感しました。(介護職7年目・男性)

介護職は日々の生活のお世話をするだけではありません。

あなたが利用者さんやご家族と信頼関係を築いたり、利用者さんの気持ちに応えることが、感謝という形で返ってくることがあります。

そういったあなたの日々の頑張りを、やりがいに変えられるのが介護の仕事です。

キャリアアドバイザーから一言

介護職は、体の大きい利用者さんに移乗のお手伝いをしたり、初対面で利用者さんのおむつを取り替えることもあります。
心身ともに大変な仕事ですが、利用者さんやご家族からの「ありがとう」という心からの感謝の言葉で、やりがいを実感している方はたくさんいます。

(2)利用者さんの目標達成を支援できる

介護職は、利用者さんが日々元気に生活することができるよう目標を共有し、一緒に努力する仕事です。

「達成感を得たとき」「成果を出したとき」は、どんな職業であっても共通してやりがいを感じることのできる瞬間ですが、介護職の仕事でももちろん同じです。

介護の仕事は、目標に向かって努力して、利用者さんができなかったことを克服できたとき、利用者さんと一緒に達成感を得られます。

それでは、体験談をご紹介します。

体験談③ おむつを外せるようになった利用者さん

介護老人保健施設で働いています。介護老人保健施設は、利用者さんが自宅に戻って生活できるように、リハビリや治療などで支援する入所施設です。

利用者Cさんは、入所した頃はおむつを使用していました。でも、お医者さんが「頑張り次第ではトイレで排泄できるまで回復できる」と仰っていたので、理学療法士の先生と協力し、少しずつリハビリ支援をしていました。

他の業務の合間を縫って、排泄のタイミングを見てお声がけしたり、時間をかけてトイレまで移動をするのは本当に骨が折れました。でも、Cさんが少しずつトイレで排泄できるようになり、「おむつの臭いが気にならなくて嬉しい」「皮膚のかぶれや不快感がなくなった」と喜んでくれたのを見て、一緒に頑張った日々が報われたことを実感しました。(介護職6年目・男性)

体験談④ 家事ができるようになった利用者さん

介護職のやりがいエピソードのイラスト(2)

認知症の方が一緒に共同生活をする、グループホームに勤務しています。グループホームでは、利用者さんと一緒に買い物や料理、洗濯など、マニュアルにない業務を行うことが多くあります。

利用者Dさんは、自宅で家事ができなくなり、一人で生活を送るのが困難になって入所されました。グループホームに入ってきた当初、Dさんは「私はなんにもできないのよ」とすっかりあきらめてしまっていて、まったく家事をしていただけませんでした。そうなると、ほかの入居者さんからは「なんであの人は何もしないの?」と怒られてしまい、困ったこともありました。

でも、Dさんは私が「料理の味見をしてくれませんか?」などと尋ねると、いつも「仕方ないわねえ」と手伝ってくれました。最近では、介護職が隣で作業する順番を確認すれば、Dさんは家事のほとんどを行うことができるとわかりました。

Dさんが「家事ができる!」という自信を取り戻してくれたおかげで、遠方のご家族もとても喜んでいます。その様子を見て、私も達成感を得ることができました。(介護職3年目・女性)

介護職の仕事は、日常生活を送れるようにするための支援が中心です。その分、貢献できたときにはとても喜んでもらえますし、貢献度も非常に大きなものです。

この達成感は、介護職だからこそ味わえる醍醐味ともいえるでしょう。

(3)勉強するほど深い「ケア技術」の世界

介護職とは、利用者さんのできないことを代わりにするだけでなく、利用者さんのできることを増やして、長く健康に生活していただくために支える仕事です。

例えば、介護職が「認知症ケア」を学んで実践することで暴れていた利用者さんが落ち着いたり、「排泄ケア」のスキルを磨くことで利用者さんがおむつでなくトイレで排泄できるようになるケースもあります。

また、声の掛け方を変えるだけでも、介護を拒否していた利用者さんの反応が変わることもあります。

このように、あなたの勉強や日々の工夫が、そのまま利用者さんの生活の質に反映されていくのです。その奥深さに、やりがいを感じる方も少なくありません。

体験談⑤ 拒否が減ってきた利用者さん

介護職のやりがいエピソードのイラスト(3)

認知症の利用者Eさんは、介護職が「歯磨きをしましょう」「入浴をしましょう」と声をかけても、たいてい拒否してしまいます。多くの介護職がEさんに納得していただくことを諦めて、なかば無理やり介助をしていました。

私はそれでも、笑顔で根気よく、認知症のEさんにも理解できるようにわかりやすい言葉を使い、入浴や口腔ケアの手順が書かれているイラストを用いながら声掛けを続けました。すると、少しずつAさんは私のときだけ、拒否が減っていくようになりました。私を見かけたときにニコっとしてくれることもあります。

このように、日々の工夫によって利用者さんの生活が改善されていくことにやりがいを感じるので、これからもケア技術を勉強していきたいです。(介護職5年目・男性)

介護現場で実践できるケアの方法については、さまざまな書籍が出ています。そのほかにも研修やセミナー、インターネットなどで情報を得ることができるようになってきており、働きながらでもスキルアップしていくことができます。

また、介護福祉士や認知症ケア専門士などの資格を取ればキャリアアップもできるため、日々のやりがいにつなげることができます。

施設の種類によってもやりがいは違う

体験談にも出てきたように、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなど、施設の種類によってもやりがいは異なります。

介護施設の主な種類。有料老人ホーム、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホーム、デイサービス

有料老人ホーム

入居者さんに、元気で楽しく日々を過ごしてもらえることを目的とした、民間企業が運営する老人ホームです。自立している方から要介護の方まで、受け入れている入居者さんの対象もさまざまです。

体験談

私の勤めている有料老人ホームでは、食事に力を入れています。美味しい食事を食べるのが毎日の楽しみという利用者さんに、毎日楽しんでいただけるようサポートできるのがやりがいです。

特別養護老人ホーム

終の棲家として、安心して自分らしい最期を迎えていただくことを目的とした公的施設です。要介護3~5以上の方を受けているため、介護度が重い入居者さんを支援します。

体験談

介護度の重い方が多い施設のため、さまざまな状態の入居者さんを介護する機会があり、スキルアップに非常に役立ちました。今後どの施設でもやっていけるという自信が、やりがいにつながったと思います。また、看取りを経て、入居者さんの「最期」を支えるという、介護職としての責任と自覚を持てたことも、良い経験になりました。

グループホーム

認知症の方が共同生活する場です。共同生活を営める自立度を維持してもらうことを目的としています。

体験談

認知症の方が共同生活する場なので、認知症ケアのスキルが日々磨かれるのを感じます。また、入居者さんと一緒に料理や洗濯をして、自立できるようサポートするのがグループホームの醍醐味だと思います。自分のことは自分でできる、入居者さんにそんな当たり前の毎日を続けていただけるよう支援をすることが私のやりがいです。

介護老人保健施設

長期入院などをされていた方が、自宅に帰ることを目的に、一時的な生活の場として利用されることの多い施設です。

体験談

利用者さんが回復していくことを目的とした施設のため、理学療法士や医師などが施設に滞在しており、自立支援やケアについて非常に勉強になります。脳卒中になった利用者さんと一緒にリハビリし、歩けるようになるまで回復していただき施設から自宅へ送り出したときなどに、働きがいを実感します。

訪問介護

利用者さんの自宅を訪問して介護します。住み慣れた家でより健康に長く生活していただくことがやりがいです

体験談

老人ホームに自分の親を預けたくないからと、働きながら在宅介護をしている方は少なくありません。日々介護に奔走する利用者さんのご家族に、ホッと一息つく時間を提供できるのが私のやりがいです。また、亡くなるまで自宅で過ごしたいという独居の利用者さんもいます。そんな方々にとって、まさしく訪問介護はライフラインだと考えており、役に立てている実感があります。

通所介護(デイサービス)

自宅から通う日帰りのサービス。在宅介護をしている家族が安心して休める時間を作ること、利用者さんが日々楽しみながら心身機能を維持できるようサポートすることがやりがいです

体験談

イベントを企画するのが好きなので、季節行事や介護予防のレクリエーションなど、利用者さんに楽しんでいただける時間を作ることができるのが楽しくて、自分らしく働けていると思っています。

キャリアアドバイザーから一言

未経験の場合、「未経験から始められるならどこでもいい」と考えてしまう方もいますが、利用者さんの重症度や夜勤の有無、施設の目的など、施設形態によって異なる点はたくさんあります。どの施設だったら自分がやりがいを持って働けそうなのか、ぜひ意識して選んでみてください。

介護職の魅力3選

介護職の魅力(1)自由度の高い働き方ができる(2)安定性がありキャリアアップもできる(3)スキルや特技を活かせる

働きやすさや将来性など、その仕事ならではの魅力があると、仕事のやりがいにも直結していきます。

ここからは介護職として働く魅力について体験談とともに紹介していきます。

(1)自由度の高い働き方ができる

介護職には、雇用形態がたくさんあります。正社員、パート、アルバイト、派遣、夜勤専従(夜勤の時間帯だけ働く形態)、副業など、あなたの生活に合わせて働き方を選びやすい仕事です。

介護業界は、慢性的な人手不足が続いています。そのため、現場は短時間でも働いてくれる方を求めており、さまざまな雇用形態に対応している施設が多くあります。

そのため、正社員としてしっかり働きたい方はもちろん、子育てと両立したい方、ほかの仕事と両立したい方でも長く働きやすい環境です。

結婚や妊娠などでライフステージが変わってしまった方にとっても、介護業界のなかで働き方を変えることができます。

体験談 ライフステージが変わっても働きやすい

もともと夜勤がある老人ホームで働いていましたが、出産を機に同じ会社が運営するデイサービスに異動しました。

利用者さんを雨や雪のなかでも送迎し、車を運転するのは大変ですが、普段は18時には退勤できているため、帰ってからも家事をする時間が持てています。

また、女性が多い職場のためシフトの調整なども理解を得やすく、子育てとの両立するのにとても助かっています。

夜勤を続けながら働いていくのは難しいと思っていましたが、ここでなら長く働くことができそうです。

(2)安定性がありキャリアアップもできる

これから高齢者がどんどん増えていく日本社会において、介護業界は需要が高い安定した業界といえます。そのため、安定した業界で長く働きたい方は安心して就業できるでしょう。

また、さまざまなキャリアアップの方法があることも、多くの方が長く介護業界で働くことのできる理由の一つです。

介護職には多くの資格があります。一般的によく取得される資格としては、「初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」などの3つがあります。

介護福祉士は国家資格で、試験を受けるための条件として3年間の実務経験が必要です。

現場で経験を積んだ後に資格を取って、生活相談員や介護支援専門員(ケアマネジャー)などのキャリアアップする方もいます。一方、管理職や施設長になるキャリアアップの方法もあります。

体験談 資格を取ってスキルアップできる

そろそろ介護職3年目になるのですが、たまたま今いる職場から資格を取得するためのサポートが受けられると言われたので、介護福祉士を目指して勉強し、無事に合格できました。

未経験から入職し、これまで給料が安い下積み時代でしたが、資格手当のおかげで給料が少しUPし、国家資格を取れたことで自信にも繋がりました。

次は介護支援専門員を目指していきたいです。

介護職のキャリアアップは十人十色

介護職がキャリアアップできるポジションや職種はたくさんあり、介護業界のなかで新しいことに挑戦しながら長期的に働くことができるのも大きな魅力です。下記では、いくつかのキャリアアップの例を上げてみました。

  • 介護リーダー(介護現場のまとめ役など)
  • 介護主任(介護現場の職員のマネジメントなど)
  • サービス提供責任者(在宅介護サービス提供の調整など)
  • 生活相談員(施設の相談援助や介護保険サービス提供の調整)
  • 介護支援専門員(ケアプランの作成など)
  • エリアマネージャー(複数の施設を管理する)…など

(3)スキルや特技を活かせる

介護職は業務内容が幅広いため、あなたの経験や特技を活かして働きやすい職場です。あなたの得意なことを活かすことができれば、それがやりがいに繋がっていくことでしょう。

事務仕事のスキル

介護職は実は書類仕事がとても多く、国がIT化を図るなど課題に取り組んでいます。

介護現場では、利用者さんの様子やサービス費用など、日々たくさんの記録を残しておく必要があります。そのため、事務仕事などをしていた方、PC操作ができる方は、介護業界では歓迎される職場が多くあります。

管理職のスキル

介護業界は人材確保やIT化などたくさんの課題を抱えているため、他業界からの管理職を歓迎する施設も増えています。

そのため、他業界で管理職を経験したことがある方は、介護業界に飛び込むときに管理職で探すことも検討してみて下さい。

接客のスキル

介護業界では今、接遇マナーに力を入れる施設が増えてきています。

介護職は利用者さんの排泄介助や入浴介助なども行うため、いつの間にか精神的にも距離が近くなりがちです。そこでつい、利用者さんに乱暴な言葉使いをしたり、強い言葉で「動かないでって言ったじゃないですか」などと声掛けしてしまう介護職もいます。

そんななか、接遇マナーは利用者さんの心や尊厳を守るため、今とても重視されているスキルです。

また、介護職では、利用者さんの言葉や本音に耳を傾けることが求められます。接客をしてきて、相手の話を聞くのが得意であったり、好きという方は介護職にとって大切なスキルを持っているといえるでしょう。

利用者さんやご家族が安心して過ごせる場所を提供するためにも、接客スキルがある方や笑顔の受け答えができる方が求められています。

家事のスキル

自宅に伺ってサービスを提供する訪問介護では、限られた費用や時間のなかで利用者さん宅の家事や介護をしなくてはなりません。

また、グループホームでも、利用者さんと料理を作ったり、洗濯物を畳むことによって、利用者さんたちが共同生活を送るのをサポートする業務があります。

そのため、日々それらを効率よくこなせている方は利用者さんやご家族に喜んでいただけます。料理や洗濯、掃除などが得意な方は、ぜひ訪問介護やグループホームも検討してみてください。

未経験でも介護職は挑戦できる

介護業界は、高齢社会に伴って人手不足が加速している業界です。

そのため、無資格・未経験の方を歓迎している施設がたくさんあります。

多くの方は、未経験から介護業界に飛び込んで、研修や実務を経験しながら少しずつスキルや知識を身に着けていきます。

この記事を読んで、ちょっとでも「介護職ってやりがいがありそう!」と思われた方は、ぜひチャレンジしてみて下さい。

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