介護職になろうと思っているけど、「どの求人に応募したらいいのか悩む」「未経験者が転職するときの注意点がわからない」などと困っていませんか? この記事では、介護職未経験の方にもわかりやすいように、施設を選ぶポイントや転職活動の流れ、履歴書などの書類の書き方を解説していきます。

介護職は無資格・未経験から始められる

介護職は無資格・未経験で働き始める方も多く、「無資格可」「未経験歓迎」と掲載している求人はたくさんあります。

「未経験でも介護の仕事ってできるの?」と不安に思ってしまうかもしれませんが、未経験で入職してから、現場で経験を積んで少しずつスキルアップしていくのが一般的です。

30代、40代でも未経験から働ける

介護業界は、高齢者人口の増加に伴って人材が不足しているため、未経験の方でも採用されやすい業界です。

特に20代~30代は、未経験でも歓迎されるケースがほとんどです。

40歳以上でも、セカンドキャリアに介護職を選ぶ方は多く、年齢層の高い未経験者でも採用されやすい傾向があります。ただし、応募書類(履歴書、職務経歴書)や面接で、志望動機と「介護業界で長く働きたい」という意志をしっかり伝えることが大切です。

キャリアアドバイザー
キャリアアドバイザーから一言

未経験から介護職への転職で、年齢がネックになる目安は50~55歳です。とくに未経験者は、独り立ちしてから定年するまでに働ける年齢が短いため、採用のハードルが上がってしまうケースもあります。

また、求人にいくつか応募をしてみて「年齢のせいで採用されづらいのかも……」と感じた方は、先に「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」などの資格を取ることを視野に入れても良いでしょう。

未経験の介護職でも働きやすい職場は?

未経験の方が求人を選ぶとき、「介護職ってどんな場所で働けるの?」とわからないこともありますよね。

ここからは入居系サービス・通所サービス・訪問サービスの3つのサービス形態に分けて、それぞれどんな特徴があるか、未経験の方が働きやすい職場かどうかを解説していきます

入居系サービス

身体介護をおこなう介護士のイラスト。食事介助をしています。

入所介護とは、入居者さんが暮らしている有料老人ホームなどの施設で介護サービスを提供することです。24時間、夜間でも入居者さんに対応するため、スタッフには基本的に夜勤があります。

入所介護の施設の種類としては、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、グループホームなどがあります。

1.有料老人ホーム

有料老人ホームのほとんどは民間企業が運営します。そのため、スキルアップのための研修や資格取得の支援に力を入れている施設が多い傾向にあります。

また、特養や老健といった公的施設よりも接客・接遇に注力していることが多く、飲食業やホテル業などを経験したことのある方にとっては、培ってきたスキルを活かして働きやすいでしょう。

【関連リンク】有料老人ホームの志望動機の書き方はこちら『【例文6選】有料老人ホームの”受かる”志望動機 | 施設の特徴も紹介

2.特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは公的施設です。要介護3以上が入居条件になっているため、介護度の重い入居者さんが多く入居しています。よって、他の施設形態と比べてケアに携わっていただく機会が多く、ケアスキルを身につけることができます。

担当する入居者さんの人数も多く、仕事に慣れるまでは大変ですが、一通りのスキルを手っ取り早く身につけることができるため、介護業界で広く通用する人材へと育っていけるでしょう。

また、特養には「従来型」と「ユニット型」という2つの種類があります。従来型は担当する入居者さんが多く1フロアにいる40~50名程度を担当し、ユニット型は10人程度の利用者さんを担当します(現在はユニット型特養の数が増えています)。

【関連リンク】特別養護老人ホームの志望動機の書き方はこちら『特養の“受かる”志望動機の例文5選 | 書き方・他施設との違いも解説

3.介護老人保健施設(老健)

未経験の方がチャレンジする施設としては、少し難易度が高めなのが介護老人保健施設(老健)です。

老健は公的施設で、入居者さんが自宅に戻ることを目的にリハビリ支援などを行っています。一般的な介助(食事介助、入浴介助、排泄介助など)を、リハビリを意識して行う必要があるため、始めは覚えることが多く苦労も多いでしょう。

しかし、医療やリハビリの知識を身につけ、介護職としてプラスアルファのスキルを持っておきたいという方にはおすすめの施設です。

【関連リンク】介護老人保健施設の志望動機の書き方はこちら『【例文7選】老健の“受かる”志望動機の書き方

4.グループホーム

グループホームは、認知症の方たちがスタッフのサポートを受けながら、共同生活を送る施設です。

入居者さんが身体機能や認知機能を維持して、自立した日常生活を続けていけるよう、介護職が料理や洗濯などを一緒にこなしながらサポートする業務がメインとなります。

入居者さんは介護度が低く、共同生活を送れるだけの身体機能や認知機能を維持している方が中心です。そのため、いきなりハイレベルな介護スキルが必要になることは少なく、介護未経験の方にとっては挑戦しやすい施設といえます。

【関連リンク】グループホームの志望動機の書き方はこちら『【例文7選】グループホームに”採用される”志望動機の書き方・答え方”

通所介護(デイサービス)

デイサービス施設と送迎者と利用者さんのイラスト

デイサービスは、利用者さんがご自宅から日帰りで通うサービス形態です。日中にサービスを提供するため、夜勤はありません。

要支援・要介護の方なら誰でも通える施設のため、利用者さんには介護度が軽い方も多く、未経験の方でもチャレンジしやすい環境です。

また、介護予防の体操や、余暇を楽しんでもらうためのレクリエーションなども実施されるため、コミュニケーション能力に自信がある方は存分に発揮できるでしょう。

ただ、デイサービスは施設によっても特徴が異なり、リハビリに特化していたり、入浴介助のサービスを扱っていない施設などもあります。将来的にどんなスキルを身につけたいかを念頭においたうえで、働く施設を選ぶようにしましょう。

デイサービスで働く場合には送迎も業務に含まれており、運転免許を必要とされるケースが多いため、免許がない方は求人選びの際に注意しましょう

【関連リンク】デイサービスの志望動機の書き方はこちら『デイサービスの“受かる”志望動機 | 未経験でも書ける例文8選

訪問サービス(訪問介護)

訪問介護のイラスト。利用者さんのご自宅を訪問し、玄関でご家族に挨拶をしています。

訪問介護は、利用者さんのご自宅に自転車(地域によっては車など)で訪問するスタイルのサービスで、職員は一般的にホームヘルパーと呼ばれます。

訪問介護員は、料理や洗濯などを行う「生活援助」と、移動や排泄のサポートなど直接体に触れる介助を行う「身体介護」などを提供します。この身体介護を行う際には、「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」という資格を取得しておく必要があります。

資格を取得してから転職活動をすることで、応募できる求人を増やすことができることからも、訪問介護に転職するうえでは意識しておくとよいでしょう。

決まった時間のなか、1対1で利用者さんに対応することが求められるため、介護職の経験者・有資格者を採用する傾向があります。

ただし、最近では、教育体制やフォロー体制を手厚くすることで未経験者を採用する事業所も増えてきています

面接時には「最初は先輩が同行してくれますか?」「独り立ちまでどんなフォローをしていただけますか?」など、ひとり立ちするまでにどんなフォローを受けられるか尋ねておくと安心です。

あた、1対1で利用者さんに対応するのは大変なこともありますが、一人ひとりに向き合った個別のケアを実施できる点に魅力を感じる方が多くいます。

夜間対応型訪問介護などもありますが、一般的な訪問介護サービスでは夜勤がないため、夜勤を希望しない方にもおすすめです

【関連リンク】訪問介護の志望動機の書き方はこちら『採用される!訪問介護員(ホームヘルパー)の志望動機【例文5つ】

どの種類の施設(事業所)に応募したいか、なんとなくでも決まりましたか? それでは次に、転職活動の進め方をみていきましょう。

【未経験者向け】転職成功のポイント

未経験者の方であっても、経験者の方と転職活動の流れは特に変わりません。一般的な流れは下記の通りです。

このステップのなかでも、未経験の方が最もつまずきやすいのは、履歴書・職務経歴書を作成するときの志望動機と自己PRの書き方です。

介護職(未経験)の志望動機の書き方

介護未経験者も、介護経験者も、志望動機の書き方は基本的に同じです。

ただし、未経験の方の場合、経験者よりも一人前になるまでの教育コストがかかることから、採用担当者は「この施設で、介護職として長く働いてくれる人材かどうか」をより厳しくチェックしています。

そのため、志望動機では下記3点をしっかりと採用担当者に伝えて、「介護職として成長し、この施設で長く働きたい」という本気度をアピールしましょう。

  1. 応募先の施設を選んだ理由
  2. 介護職になりたい理由
  3. 将来的にどう成長していきたいか

【志望動機の例文】

私は貴施設で、一人ひとりの利用者様に向き合った介護がしたいと考えております。

前職ではデータ管理の仕事をしており、日々パソコンと向き合って仕事をしていくなかで「誰かの役に立てていると実感できる仕事がしたい」と思うようになりました。

そんなとき、貴施設の「一人ひとりに最後まで寄り添う」という理念に共感しました。貴施設で働き、利用者さまの視点で物事を考え、本当に喜んでもらえる介護職になれるよう努めていきたいです。

「①応募先の施設を選んだ理由」としては、例えば下記のようなものがあります。

①応募先の施設を選んだ理由の例

  • 貴施設の「一人ひとりに最後まで寄り添う」という企業理念に共感しました
  • 研修制度に力を入れており、貴施設なら未経験からでも介護職として成長していけると感じました

「②介護職になりたい理由の例」としては、介護職を志望するに至るきっかけとなったエピソードを盛り込むと、より説得力が増します。

②介護職になりたい理由の例

  • 前職では一人で黙々とデスクワークをしていることが多く、人と触れ合い感謝される仕事がやりたいと考えるようになりました
  • 高齢の母に介護が必要になったら、親孝行ができるように介護の知識や技術を身につけておきたいと考えております

「③将来的にどう成長していきたいか」という意欲を最後に添えると、一人前に成長することへの積極性を伝えることができます。

③将来的にどう成長していきたいかの例

  • 利用者さんの視点から物事を考え、心から寄り添えるような介護職になりたいです
  • いち早く介護職としての基本スキルを身につけ、貴施設で活躍していきたいです
キャリアアドバイザー
キャリアアドバイザーから一言

志望動機を書くときは、「ほかにやりたい仕事がなかったから」「未経験でも転職できるから」など、ネガティブな志望動機にならないように気をつけましょう。

介護職として施設で活躍していきたいという熱意を、しっかりと採用担当者にアピールすることが採用につながるポイントです。

介護職(未経験)の自己PRの書き方

自己PRも、基本的には未経験者であっても書き方の基本は変わりません。

未経験で介護職に応募する方が自己PRを書くときには、これまでの仕事や家事で培ったスキルのうち、介護職でも活かせそうなものを採用担当者にしっかりアピールすることが大切です。

【自己PRの例文】

前職では、飲食店で3年間ほど接客サービスを行ってきました。お客様が心地よく過ごせるように配慮したお客様対応を心がけておりました。

特にお年寄りのお客様には先回りして椅子を引いて差し上げたり、声を大きくゆっくり話すなどの気配りを心がけをしてまいりました。

介護は未経験ですが、培ってきた接客スキルやホスピタリティを、貴施設の入居者様と接するときにも役立てていきたいと考えております。

もし、アピールできるスキルが思い浮かばなかった場合、あなたの人柄をアピールするのも良いでしょう。

高齢者とコミュニケーションをとるのが好き、面倒見がよく人のお世話をするのが好き……など、介護職の仕事にプラスになりそうな人柄をアピールできればOKです。

アピールしたいスキルと人柄が決まったら、それらを裏付けるための具体的なエピソードと、介護施設で働くときにどう活かしていきたいかという点も書き加えていきましょう

スキルや人柄をアピールする例文には、下記のようなものがあります。

①接客業で培ってきたホスピタリティや接遇マナーの例

ホテル業で接客をしていた経験から、綺麗な言葉遣いや、相手に心地良く過ごしていただける心配りには自信があります。このスキルを活かして、貴施設では入居者さんに自分らしく日々を過ごしていただけるお手伝いがしたいと考えています。

②事務職などで鍛えたPCスキルや事務処理能力の例

事務職として培ってきたPCスキルは、貴施設でも介護記録をとる際などに活かしていきたいです。また、正確な仕事をすることにも自信があるため、貴施設では利用者さんの安全を守るため細心の注意を払いながら、丁寧な仕事を心がけていきたいです。

③営業職で養われた積極性の例

営業職で、他者とのコミュニケーションスキルを磨いてきました。これまでに身につけた積極性で、貴施設でも主体的に利用者さんや職員の皆様に働きかけていきたいです。

④主婦業で磨いてきた家事スキルの例

これまで主婦として培ってきた料理や洗濯、掃除を手早く丁寧にこなしていくスキルを活かし、利用者さんがよりご自宅で心地良く過ごしていただけるようにサポートしたいです。

⑤介護をした経験の例

母を介護した経験から、利用者さんやご家族の視点で物事を考えることができると思うので、貴施設でホスピタリティのある介護を実践していきたいです。

⑥人柄をアピールする例

私は高齢者と接するのが好きで、地元の高齢者の皆さんと清掃活動のボランティアをしています。ぜひ貴施設でもたくさんの利用者さんとコミュニケーションをとり、笑顔で過ごしていただける支援をしていきたいです。

キャリアアドバイザー
キャリアアドバイザーから一言

自己PRを考えるときは、事前にホームページや求人を見て、応募先の施設はどんな人材を欲しているのかを確認しておくと良いでしょう。

リンク集|履歴書・職務経歴書・面接

志望動機や自己PRの書き方をみてきましたが、履歴書や職歴書の書き方、面接対策について困ったことや知りたいことがあれば、下記の記事を参照してみてください。

ここからは、転職する方法としてどんなものがあるのかをみていきます。自分に合った転職方法が選べているのかを確認してみましょう。

未経験で介護職に転職する方法は?

転職するために求人を探せる場所は、主に以下の3つです。

  1. ハローワーク
  2. 転職サイト
  3. 転職エージェント

ほかにも、施設のホームページから直接応募する、知り合いに紹介してもらうなどの方法もあります。

ハローワークを利用する

ハローワークでは、実際に足を運んで相談員と面談する、もしくはインターネットサービスを利用するという2つの方法で求人を探せます。

ただし、ハローワークの求人票は基本項目を簡単に記載しているだけのことが多く、働くときのイメージがしづらいというデメリットもあります。

転職サイトを利用する

介護士が転職サイトを閲覧・検索しているイラスト。

検索条件(場所、給料、資格条件など)を指定し、自分が希望する施設を探すことができます。どんな条件で働きたいかがはっきりしていて、なるべく早く転職したい人におすすめです。

ただし、転職エージェントと違って専門のキャリアアドバイザーがつかないため、施設について調べたり、対策を立てたりする作業をすべて1人で行わなければならないデメリットがあります。

転職エージェントを利用する

キャリアアドバイザーと面談する介護士のイラスト。

転職エージェントでは、介護業界の転職活動に詳しいキャリアアドバイザーが、転職活動を支援してくれます。

キャリアアドバイザーは、採用されるためのアドバイスや業界事情を無料で教えてくれます。そのため、転職エージェントの利用は未経験の方におすすめの転職方法です。

ただ、転職先との間にキャリアアドバイザーが入って応募先とやり取りや交渉をしてもらえる分、応募先の企業と直接やり取りするよりも少し時間がかかることがあります。

まとめ

未経験から介護職へのチャレンジは、ほかの業界と比べてもハードルは高くありません。

記事で解説してきたとおり、介護施設によっても働き方には違いがあり、それらの特徴を踏まえて志望動機などを作っていきましょう。ぜひ自分に合った施設を見つけて、トライしてみてくださいね。