「今日もあの人と一緒か……」「出勤するのがつらいな…」と感じてしまうことはありませんか? 人間関係で悩んでいる介護職の方は少なくありません。この記事では、5人の方の体験談を交えながら、人間関係に悩む介護職の実態や背景、解決に向けてのアプローチを紹介します。

人間関係に悩む介護職は多い

介護職として頑張っていて、もし今人間関係で悩んでいるとしても、それはあなただけではないかもしれませんよ。介護職が退職する理由ランキングでもそのことが数字で現れています。

「人間関係が悪い」は介護職の退職理由第2位

【介護職が前職をやめた理由ランキング】順位:理由:割合。1位:結婚・妊娠・出産・育児:25.0%。2位:職場の人間関係に問題があった:16.6%。3位将来の見込みが立たなかった:15.0%。4位:収入が少なかった:12.9%。5位:他にいい仕事・職場があった:12.4%。7位:新しい資格を取った:9.9%。7位:勤め先の理念や運営に不満があった:9.8%
出典:『令和2年度 介護労働実態調査』(公益財団法人介護労働安定センター)よりWe介護編集部で作成

介護労働安定センターが2020年度に行った調査によると、「職場の人間関係」を理由に退職した介護職は全体の16.6%。これは「結婚・妊娠・出産・育児(25.0%)」に次ぐ第2位で、多くの介護職が職場の人間関係で悩んでいることがわかります。

加えて、退職理由ランキングの位「勤め先の理念や運営に不満があった(9.8%)」も人間関係にかかわるものです。管理者と折り合いがつかないことが働きづらさの一因となっている可能性も考えられます。

キャリアアドバイザーから一言

この調査では、「職場の人間関係」で退職する方の割合が16.6%ということですが、転職相談を受けていると、体感的には4~5割の方が人間関係で悩んでいらっしゃる印象です。

介護職はほかの産業と比べても、多職種でコミュニケーションを取る機会が多かったり、年齢層も幅広いので、人間関係で悩む方が多いのも仕方がないのかもしれませんね。

【体験談】介護職の私はこんな人間関係で悩んでいます

介護職がどんな人間関係で悩んでいるか、5つの体験談を紹介します。キャリアアドバイザーからの状況解説もあるので参考にしてみてください。あなたの悩みと近い体験談があるかもしれません。

【1】勤務歴の長いパートさんが怖い

体験談:いつも仕事を押し付けてきます(30代、正社員、女性)介護職の人間関係に関する悩みに関するイラスト。勤務歴の長いパートさんが怖く、新人や歴の浅い人は大変な仕事をおしつけられてしまっています

私の職場には、勤務歴が施設長よりも長く、他のスタッフにとてもキツくあたるパートさんがいます。

自分はあまり仕事をせず、おむつ交換や体位変換など、大変な作業はすべて他の人に押し付けてきます。

私は自分のことで手一杯なのに、17時になるとそのパートさんから「あとこれやっといて。私はもう上がりだから」と、仕事を押し付けられることもしばしば。

施設長に相談しても、「◯◯さんには僕も逆らえないんだよ」といった感じで対応してくれません。

キャリアアドバイザーから一言

勤務歴の長い人が好き勝手に振る舞っている現場は、なかなか人が定着しないため、ただでさえ人手不足の状況が年々悪化しているケースもあります。

施設長からすると、「スタッフからの評判は悪いが、利用者さんのご家族対応では頼れる」などの事情で注意しようにもできないのかもしれません。

【2】管理者と先輩スタッフが対立

体験談:現場未経験の管理者とベテランスタッフの間に挟まれています(30代、パート、女性)介護職の人間関係に関する悩みに関するイラスト。現場未経験の管理者とベテランのスタッフが対立しています

私が勤務する施設の管理者は、現場未経験の50代男性です。

コンサル会社部長職としての経験を買われて採用されたようですが、介護職としての経験がないためベテランスタッフからかなり強めの反発を受けています。

その管理者は前職の経験を活かして新しい取り組みを行おうとしていますが、まだ3年しか介護職経験のない私から見ても若干的外れ……。

当然ベテランスタッフはそれを拒み、「施設のことは私たちの方がわかっている」「現場のやり方に文句を言わないで」と耳を貸しません。

もう少し的確な取り組みなら職場がより良くなる可能性はありますが、今のところ難しそうです。

管理者の方からは「若い人から積極的に頼むよ」なんて言われ、間に挟まれている感じでいつも困っています。

キャリアアドバイザーから一言

最近は、組織改革を図ろうと、介護以外の経験を持った管理者層を積極的に採用する事業者が増えています。

これまでにない業務管理や生産性向上の提案がなされて、特にベテランススタッフとの折り合いがつかない事例もよく耳にします。

ただ、この他業種からの積極採用の流れは今後も続きそうので、当面の間はこのような摩擦が生まれるのは、介護業界が前に進むためには仕方がないものだと言えるかもしれません。

【3】人手不足で職場がピリピリ

体験談:忙しすぎて職場全体がピリピリしています(30代、正社員、男性)介護職の人間関係に関する悩みに関するイラスト。人手不足で職場がぴりぴりしている

僕の勤める施設は常に人手不足で、一人ひとりにかかる業務の負担は他の施設よりも重いと思います。

そのせいか、いつも職場はピリピリしており、みんなで助け合おうという雰囲気ではありません。

例えば、応援が頼みにくいせいで、本来は2人で行ったほうがいいような、体格の大きい方の移乗を無理に行わざるを得ず、腰痛を悪化させたスタッフが辞めてしまう……なんてこともありました。

施設長も新しいスタッフを採用しようと必死に頑張っていますが、応募も少なく、崩壊寸前といった感じです。

キャリアアドバイザーから一言

介護施設に限らず言えることですが、職員の時間的・精神的余裕がなければ人間関係が悪くなりがちです。

職員同士でコミュニケーションがしっかり取れていない施設は介護事故が発生するリスクも高く、危険な状況だと言えます。

【4】新人が馴染めない

体験談:先輩たちの輪に入れてもらえません(20代、パート、女性)
介護職の人間関係に関する悩みに関するイラスト。新人がなじめない

勤務歴が長い人たち同士は仲がとてもいいのですが、20代で新人の私はなかなかその輪に入ることができません。

私が休憩室に入った途端におしゃべりが止んだときは、新人いびりかと思いました。

相手にされておらず、仕事で必要な連絡さえもらえないこともたまにあるので、業務にも支障が出始めています。

施設長は「人手が足りていなかったから入職してくれてよかった」と言ってくれますが、現場の人たちからは受け入れられていないことがメンタル的にとてもつらいです。

キャリアアドバイザーから一言

新人が馴染めない雰囲気の施設は少なからずあるかもしれません。短期間で退職する人のなかには、施設に馴染めずにいづらくてすぐ辞めてしまったという人もいます。

施設長に相談しても改善されないようであれば、フロアの変更や、系列の施設への異動も視野に入れていいかもしれません。

【5】年下上司の態度が気に食わない

体験談:上から目線の年下上司にイラッとしてしまいます(40代、正社員、男性)
介護職の人間関係に関する悩みに関するイラスト。年下上司の態度が気に食わない

40歳から介護職として働き始めました。

現場をまとめるリーダーはまだ20代なのですが、20歳以上も年上の私に対してすべてタメ口で、しかもかなり上から目線で指示をしてきます。役職が上なので仕方ないのかもしれませんが、正直イラッとしてしまいます。

先日、つい「そんな言い方はないんじゃないですか?」と言い返してしまい、口論になりました。

自分が仕事を教えてもらっている立場だとはわかっているのですが、社会人らしくない失礼な態度を取られると、年長者としてどうしても注意したくなってしまいます。

キャリアアドバイザーから一言

40代、50代から介護職になる人も多いので、同じような悩みを抱えている人は多いかもしれません。逆に、一回り以上の世代が部下になると、年下上司の側も対応に悩んでいることも。

介護職は専門職ということもあって、年齢よりも経験年数が重視され、年功序列ではない傾向が強いのも難しいところです。実力主義とも言えますが、人間関係の衝突を生む原因のひとつでもあります。

また、若手に対して社会人としての振る舞い方を細かく教えるような研修をしている施設は少ないので、他業種からの転職者がギャップを感じることも多いようです。

介護職が人間関係で悩みすぎないためにできること

人間関係に悩みながら仕事を続けることはかなりのストレスですよね。抱え込みすぎて精神的に参ってしまえば、休職せざるを得なくなるかもしれません。

ここでは、人間関係に悩みすぎてしまう前にできることを紹介します。

同僚に相談する

まずできることとしては、同世代や同じくらいの立ち位置の同僚に相談してみることです。

「◯◯さんとどうしてもうまくいかずに悩んでいる」と相談してみることで、抜本的な解決策を提示してもらうところまではいかなくても、気持ちがスッキリするかもしれません。

同僚に相談するメリットとしてはほかにも、「共感してもらえる」「話が大事になりにくい」といった点が挙げられます。

上の役職(施設長や本部)の人に相談する

「もう辞めたい」と感じるほど人間関係で悩んでいる場合は、早めに施設長や本部の人に相談してみましょう。

規模の大きい施設だと配置転換でフロアを変えてくれたり、いくつか施設を運営している事業者であれば近隣の施設への異動を提案してくれる可能性があります。

あなたに辞められてしまうことは施設(事業者)としても痛手になるので、その事業者内でどうにか引き続き勤務してくれるように取り計らってくれるはずですよ。

転職する

転職することで、人間関係を一度リセットすることができます。

ただし、「人間関係が良い施設で働きたい」と思っても、面接や求人票で人間関係を把握することはなかなか難しいので、転職する際は慎重に情報収集しましょう。

例えば、知り合いがいる施設の内情や人間関係を聞いてみて、働きやすそうな施設かどうかを判断するのも良い手段です。

転職時の注意点を2つ紹介します。

①離職率が高い/低いだけで判断するのは危険

離職率が低い=人間関係も良いと考えている人もいるかもしれませんが、その判断はおすすめできません。

離職率には、定年退職した人、結婚・出産や引っ越しなどでやむを得ず退職した人、親の介護を理由に退職した人もすべて”退職者”として含まれます。

そのため、離職率が高いからと言って、必ずしも全員が人間関係を理由に退職したとは言えないからです。

②ネット上の口コミを鵜呑みにするのはNG

ネット上の口コミを鵜呑みにして施設の良し悪しを判断するのは避けましょう。なぜなら、職員数が多い施設(事業者)ほど退職者が多いのは当然で、その分だけ悪い口コミも数としては多くなってしまう可能性があるからです。

それに影響をされてしまうと、実際には定着率もよく、人材育成がしっかりしている施設を見逃してしまうことになりかねないので、あまり影響されすぎないよう注意しましょう。

キャリアアドバイザーから一言

転職相談のときに、「人間関係が良い職場を探してほしい」という要望を受けることはありますが、こればかりは人対人なので難しいものがあります。

ただし、面接で以下の2点を確認しておくことは、自分が馴染めそうかどうかを判断する良い材料になるかもしれません。

  • 同世代のスタッフがいそうか
  • 男女比はどのくらいか

とはいえ、まずは自分がどんな介護をしたいか、どんな働き方をしたいかを考えたうえで、転職先を探すようにしましょう。

(参考)
令和2年度 介護労働実態調査』(介護労働安定センター)