介護業界はさまざまな働き方ができる業界です。今回は、主に介護施設の夜勤のみを担当する夜勤専従について、働き方や仕事内容、夜勤専従ならではの大変なことなどを解説します。

介護職の夜勤専従とは夜勤のみを担当する

介護職の夜勤専従とは、文字通り、夜勤帯のみを担当する働き方を指します。

夜勤専従は、多くて月に10回程度の夜勤に入ります。雇用形態はアルバイトやパートなどの非正規雇用の割合が多いことが特徴です。

給料面では、夜勤手当がつき、時給も深夜割増になるため、ほかの非正規職員に比べると時給が高い傾向があります。

夜勤専従という働き方を選択する理由は、給料を上げたい、ダブルワークがしたい、早朝勤務(早起き)が苦手、親の介護をしていて日中は家にいたい、趣味に使いたいといったものが挙げられます。

さまざまな働き方ができる介護業界らしい勤務体系です。

キャリアアドバイザー
キャリアアドバイザーから一言

労働基準法では、1日の労働は8時間までとされているため、本来は1回の勤務で14~16時間勤務する(させる)ことは認められません。

しかし、変形労働時間制という制度における特例措置というものがあり、1週間で44時間までであれば認められています。

そのため、夜勤専従の場合は、1週間で44時間を超えないようにシフトを組んでもらう必要があります。

夜勤専従の1週間のシフトイメージ

夜勤専従の場合の1週間のシフト例を紹介します。

介護職の夜勤専有のシフトイメージ

夜勤専従は日付をまたいで働き、明け(退勤日)の翌日は基本的に休日です。目安としては多くて週に2〜3回、月に10回程度の勤務になります。

シフトはほかの職員との兼ね合いで決まるので、希望していても必ず月に10回夜勤ができるとは限らないことも頭に入れておきましょう。

夜勤専従の勤務スケジュールと仕事内容

17:00〜翌09:00の時間帯で働く夜勤専従のスケジュール例を紹介します。

介護の夜勤専従の勤務スケジュールと時間帯ごとの仕事内容

夜勤専従に必須な資格は特にない

夜勤専従として働くために必要な資格として法律では設けられていませんが、夜勤帯は職員数が少ないため、一通りの業務を1人で行うスキルと経験が求められます。

もちろん、無資格・未経験でも夜勤専従として採用される可能性はゼロではありませんが、確率はかなり低いといえます。そのため、日勤で一通りの業務を覚え、施設長やほかの職員から一人前として認められている必要があります。

夜勤専従の給料シミュレーション

夜勤専従で勤務した場合の給料をシミュレーションしてみましょう。夜勤1回分の給料、1ヵ月で10回勤務した場合の月給例に紹介します。

【1ヵ月10回夜勤の場合】給料シミュレーション

給料シミュレーションの基となる時給、夜勤回数、夜勤手当、勤務時間、保有資格は以下の通りです。

夜勤専従 給与や資格、夜勤回数のモデルケース

こちらのモデルケースを例に、日給、月給をそれぞれシミュレーションしてみましょう。

介護職 夜勤の給料シミュレーション。日給、月給。

モデルケースでは、夜勤専従の日給は2万4,300円、月給は25万3,000円となりました。

地域や法人によって時給や手当の金額が異なりますが、月に10回の勤務であれば上記の金額が相場だと考えてよいでしょう。

夜勤専従のメリット4つ

夜勤専従で働くメリットを4つ紹介します。

夜勤専従の介護職として働くメリット。

1.少ない勤務日数でも高い給料が期待できる

日勤パートの人に比べると時給が高く、夜勤手当ももらえるため、夜勤専従は少ない勤務日数でも高い給料が期待できます。

ただし、夜勤専従は非正規雇用のことが多いため、ボーナスや退職金がなく、長期的に考えると正規雇用には待遇面で劣るケースがある。

2.プライベートが充実する

夜勤専従は、日中は自由に活動できるためプライベートを充実させることが可能です。早起きが苦手という方にとっても働きやすいでしょう。

もちろん、しっかり仕事をするために睡眠時間は確保しなければいけませんが、日中は趣味や好きなことに没頭することができます。

ダブルワークをしている人や専門学校などに通いながら働きたい人にとっても夜勤専従は都合のよい働き方だといえます。

また、体力的にかなりハードではありますが、育児や介護で日中は働くことが難しい人でも、勤務回数を抑えながらであれば、夜勤専従で介護の仕事を続けることも可能です。

3.日勤に比べると業務量が少ない

夜勤帯のほとんどの時間が利用者さんの就寝時間であるため、日勤に比べると介助業務が少なくなります。記録業務や見回りが主な業務なので、身体的な面でメリットがあると言えます。

4.人間関係が楽

夜勤職員は日勤に比べると人数が少ないため、少人数または1人で業務を行うことが多くあります。その分、人間関係が楽というメリットがあります。

ただし、引き継ぎなどでほかの職員とコミュニケーションを図る必要があるため、人間関係を気にしなくていいという理由だけで夜勤専従を選択することはおすすめしません。

夜勤専従のデメリット3つ

夜勤専従の介護職として働くデメリット。

1.体調管理が大変

夜勤専従でいちばん大変なことは体調管理かもしれません。

昼夜逆転の生活になるので、太陽の光を浴びる時間が短くなったり、体調面での不安は大きくなります。

日勤と夜勤の両方のシフトに入るよりも働く時間が固定されている夜勤専従の方が楽という人もいますが、体調管理には十分注意する必要があります。

2.正社員の求人が少ない

夜勤専従の求人の多くはアルバイトやパートなどの非正規求人です。

夜勤専従で働く場合は、正社員ではなく非正規雇用の可能性が高いということを理解しておきましょう。

背景としては、施設側は、夜勤専従で採用したスタッフが仮に退職してしまった場合、夜勤の確保が難しくなるという懸念があります。

場合によっては、ほかのスタッフに夜勤回数を増やしてもらわなければいけなくなり、新たな離職者を生んでしまうかもしれません。

そのため、積極的に正社員の夜勤専従を雇うというよりは、非正規職員や派遣社員をスポット的に夜勤専従として採用したいという意図がある施設も多いでしょう。

3.日によってはかなりハード

全然寝てくれない利用者さんがいたり、ナースコールの鳴る回数が多かったり、緊急対応などがある日ももちろんあります。そんな日は休憩もままならないなんてこともあるので頭に入れておきましょう。

キャリアアドバイザー
キャリアアドバイザーから一言

夜勤専従にはいろいろなメリット、デメリットがあります。

特に、夜勤帯は職員が少ない分、緊急時にはとっさの判断や対応が求められます。

夜勤専従ならではの大変なこともしっかり理解したうえで選択することをおすすめします。