拘縮の正しいポジショニング方法!片麻痺や寝たきりの方の事例も解説

【介護】拘縮の改善方法|片麻痺や寝たきりの方のポジショニングを解説

利用者さんの関節が動かしにくく、おむつ交換や更衣介助をするときに難しい…こういったことが介護施設ではよくありますよね。その状態を「拘縮」といいます。拘縮を予防・改善するために大切なポジショニングと、介助するときの工夫などについて、事例をもとに説明してきます。

拘縮とは? 種類は主に2つ

拘縮とは、さまざまな原因により関節の周囲組織が変化し、関節の動きが悪くなってしまう状態を指します。

介護現場で高齢者によく見られる拘縮には、主に神経性と筋性があります。この2つは同じ拘縮であっても原因が違うため、ケアの方法も異なります。まずは拘縮の種類を判断することが重要です。

神経性と筋性を見分けるポイントは、「脳血管障害」です。
神経性拘縮は脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血脳卒中など)による後遺症が原因となります。一方で、筋性拘縮は寝たきり状態になれば誰でも発生する可能性があり、どんな疾患であるかは関係ありません。

そのため、もし利用者さんの現病歴と既往歴を確認したときに、脳血管障害があった場合には、神経性拘縮の対応を行うとよいでしょう。

逆に、脳血管障害の現病歴や既往歴がなく寝たきり状態で全身性の拘縮になっている場合には筋性拘縮の対応がよいと考えられます。

それぞれの対応方法について、事例に基づいて解説します。まずは神経性拘縮の事例を見ていきましょう。

【事例1】神経性拘縮の方への対応方法

利用者Aさんは、左側の上肢と下肢に拘縮が見られます。また、座位では、首や体幹がとても緊張している状態になっており、麻痺側に傾いてしまいます。

現病歴や既往歴を確認したところ、Aさんは5年ほど前に「脳卒中左片麻痺」の既往歴がありました。

連合反応とは?健側が過剰に頑張っている状態

Aさんは脳血管障害の既往歴があることから、神経性拘縮であることが考えられます。ただし、脳血管障害の既往歴があるすべての人が、神経性拘縮になるわけではありません。

脳血管障害で片麻痺の後遺症があると、利用者さんはどうしても麻痺のない健側で頑張りすぎてしまう傾向があります。

健側で過剰に頑張りすぎてしまうと、「連合反応」が出現する人がいます。
片麻痺における連合反応は、健側の上肢や下肢で過剰に頑張りすぎてしまうと、その影響で患側の肢の筋収縮を不随に引き起こす現象です。

【連合反応のある立ち姿勢】負担がかかる。足がつっぱる。腕が曲がる、肩が後ろに下がる

車いすの方のポジショニング

Aさんのように脳血管障害のある方は、手足だけでなく、頭や体幹の半身にも麻痺症状が出ます。そのため、お尻の感覚が鈍くなり、普段から健側に寄って座位をとっている利用者さんは多くいます。

長期間この状態になると、麻痺していない側で頑張りすぎている状態が続きます。よって麻痺している側の手足・首・体幹に連合反応が出るようになり、結果として麻痺している側全体に神経性拘縮が起こるのです。

このようなケースでは、椅子の座面の麻痺していない側に、折りたたんだバスタオルなどを入れてみてください。

麻痺していない側を少し高くすることで、利用者さんは姿勢を保ちやすくなり、拘縮予防につながることがあります。

拘縮の方の車椅子のポジショニング。麻痺していない側にタオルを敷く

それでは次に、筋性拘縮の事例を見ていきましょう。

【事例2】筋性拘縮の方への対応

利用者Bさんは両手足に拘縮がみられます。さらに、首が後屈し、口が開き続いている状態で、自分で寝返りをしたり、起きることもできない状態です。

現病歴や既往歴に脳血管障害はなく、それ以外の疾患や障害はありません。

寝たきりの方に多い筋性拘縮の本当の原因

冒頭でもお話ししたように、筋性拘縮の見分け方は、疾患や障害ではなく「寝たきり状態」か否かがポイントです。利用者Bさんは寝たきりの状態なので、筋性拘縮が考えられます。

筋性拘縮の原因は、以前まで「寝たきり状態で身体を動かさない」ことが原因とされてきました。しかし、現在では「寝たきり状態で特定の筋肉に負担がかかる」ことが原因だとわかってきています。

人には「抗重力筋」という、地球の重力に抵抗して姿勢を一定にキープする機能があります。抗重力筋は身体のいろんな部分にあるため、生活のなかで負担がかかる場所は常に変わります。しかし、寝たきり状態になって自ら動くことができないと、同じ抗重力筋に負担がかかってしまいます。

こうした理由から、仰向けの時間が長くなると、全身の背中側の筋肉に負担がかかります。そのため、拘縮により両手足が曲がって、首が後屈するという特有の姿勢となってしまうのです。

「伸ばさず曲げる」と動かしやすい

寝たきり状態で同じ姿勢が長くなると、手足も含めた背中側に負担がかかるので、その負担を軽減するポジショニングが重要になります。

拘縮すると手足の関節が曲がってくるので、介助時に「伸ばした状態にしてポジショニングする方が良いのでは?」と思われるかもしれません。しかし、実際には少し曲げる方に動かしてからクッションをあてるようにします。

曲げるときには、利用者さんの膝下とかかとを持って片足ずつ行うように意識しましょう。クッションは、膝の下の隙間をしっかり埋めて支えるようにあてます。

拘縮の方の寝ている状態のポジショニング

おむつ介助のときなどに、両足が曲がり、両股の関節が堅くて股が開きにくいことがあります。そういった場合、少しで良いので両足をより曲げる方向に動かしてみてください。股が開きやすくなるはずです。

また、更衣介助のときに両脇が開かないといった場合には、利用者さんの肩と肘を持ち、少し肩をすくめるように肘を内側にゆっくり押しましょう。こうすることで、上肢全体の緊張が緩みやすくなります。同様に、首も同じように両手でゆっくりと、少し前屈するようにして行ってみると、身体の緊張が緩んで介助しやすくなることが多いです。

拘縮の方に枕をあてるときのポイント

寝たきり状態の方の拘縮ケアとして、特に重視すべきは首のポジショニングです。これは枕の適切なあて方がポイントになります。

筋性拘縮のある人の多くは、自分の状況を他者に伝えたり、枕のあて方が悪いときに自分で直すといったことができません。枕のあて方が不適切な状態のまま、何時間も放置される……といったことが起こった場合、利用者さんにとって大きな苦痛になるのです。

枕は、首全体をしっかり支えるようにあてましょう。側臥位や半側臥位のときも首をしっかり支えるのは変わらないので、毎回必ず体位変換を行ったあとにしっかり確認してください。

拘縮の方の寝ている状態の枕のあて方

ポジショニングや拘縮ケアのポイントをお伝えしましたが、いかがでしょうか。

神経性拘縮の利用者さんをケアするポイントは、麻痺のない側を過剰に頑張らせすぎないこと。そして筋性拘縮の利用者さんをケアするポイントは、拘縮している部位を伸ばさず少し曲げてみること。
これらの点を意識して、拘縮ケアを行ってみてくださいね。

著者/田中義行
監修者/苛原実
イラスト/アライヨウコ

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