通常、介護事故が起こったあとは、どのようなことを心がければいいのでしょうか。場当たり的な対応はNG。あらかじめ「やるべきこと」をマニュアル化しておき、それに沿って行動し、利用者や家族を安心させることが大切です。
利用者や家族が納得する対応手順とは?
前回までのテーマは「事故をめぐる家族トラブルの急増」でした。介護事故が家族トラブルに発展するポイントについて、詳しく紹介してきました。
ここからのテーマは「事故後家族対応マニュアルの実際」です。介護事故が起きた際の家族対応について、具体的に見ていきましょう。
事故が起こった際の具体的な流れをまとめたのが、こちらのチャートです。
事故発生時は現場はバタバタしますから、「次に何をするべきか」をあらかじめ決めておく必要があります。こうしたマニュアルがないと場当たり的な対応になってしまい、家族対応に不手際が起こってしまうものです。
事故後の家族対応で注意するべきポイント
前章でご紹介した事故後の家族対応の流れにおいて、注意するべきポイントをまとめました。上のチャート図と合わせてご一読ください。
①施設内の速報
②家族への第一報
③事故直後の家族への説明
④利用者の生活復帰に対する協力
⑤事故状況再検証
⑥自治体への報告
⑦調査報告書作成
⑧保険会社への報告
⑩利用者宅にて家族との面談
家族が安心できるかどうかは事業者側の対応しだい
介護事業者側にまず理解してもらいたいことは、事故が起こったことで、家族は「今後どうなってしまうんだろう」という強い不安の中にいるという点です。
そんなときに施設側が中途半端な說明しかしないと、家族は「こちらから何か言わないと、そのままにするつもりなんじゃないだろうか」などと、疑心暗鬼になってしまいます。一度家族にこうした不信感を与えてしまうと、あとになって信頼を回復するのは非常に困難です。
家族に安心してもらうためには、「正式な調査結果や補償の話は、10日後に行います」といったように、今後の経過について、家族に聞かれる前に提示する必要があります。そして、仮に10日後に家族に説明を行うためには、現場の事故原因の調査は4~5日以内に完了しなければ間に合いません。
家族の不安を和らげる対応をするためには、何よりも事業者側が対応手順を明確にして行動することが大切です。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編』(講談社)の内容より一部を抜粋して掲載しています