外部からの感染で、見落としがちな危険度の高い場面とはどこでしょうか。利用者が施設外で感染する場合、施設外の感染者との接触する場合などケースごとに解説していきます。
利用者を外部の感染から守るには
何度もくり返していますが、大切なことは利用者の生活の自由を束縛せずに、感染症の脅威から守ることです。そのためには、外部との接触ルートは(食事、設備、職員の衛生管理に比べて)、比較的ゆるやかにして、生活上のリスクを甘受していく必要があります。
問題は、その意識を職員間で共有し、家族にも理解してもらうことです。家族がそれを理解して、感染症の流行期間中は自主的に面会を控えてくれるようになると、施設の感染症対策はスムーズになります。
施設の外部からの感染
職員からの感染を除き、施設の外部から感染する可能性がある場合とは、具体的にどんな場合でしょうか、「利用者が施設外で感染する」「施設外の感染者と接触する」という2つの観点から考えていきます。
【1】利用者が施設外で感染する

病院の待合室
外出や外泊
【2】施設外の感染者との接触

家族や知人の面会
利用者が接触する外部の関係者
ショートステイ利用者が感染源のケース
「感染症対策検討シート」を活用しよう
下の表は、どの対策を重点的に行えばよいかを導き出すための検討シートです。それぞれの施設で検討し、効率的な対策を行ってください。

「職員負担」「デメリット」「効果」「検討結果」の各項目への記入見本を参考にして、施設内で感染症対策の負担と効果を比較してみましょう。なお、「デメリット」とは、これらの対策で利用者が受ける不利益を言います。
上の「感染症対策検討シート」はこちらからダウンロードしていただけます。
ショートステイの当日キャンセルは要注意
ショートステイの利用日が近づくと、家族は利用者の不在時に外泊などの予定を組んでいることがあります。そのため、利用当日の体調不良によるキャンセルは、大きなトラブルになりがちです。利用開始時のバイタルチェックで感染の可能性があっても、受け入れるようにしましょう。
家族が感染症の兆候を察知し、自主的に利用を控えるようであれば、それに越したことはありません。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編』(講談社/2018年2月14日発売)の内容より一部を抜粋して掲載しています