介護施設の利用者に、感染症の疑いがある症状を発見した場合の対応方法をご紹介します。感染症の種類によっては届け出義務が発生するので、しっかり診断を受けましょう。
まず二次感染の防止に全力をあげる
介護職が感染症の疑いがある症状を発見したら、看護師への報告と手当ての要請を行い、バイタルチェックなどによって症状を把握します。そこから受診へと進みますが、同時に周囲の利用者への感染防止対策の開始が必要です。その際、利用者を不安にさせないように気をつけなければなりません。
併せて、管理者への報告を行いましょう。確定診断が出るまでは、感染症が発生したものとして、全職員で情報を共有することが必要です。
感染症の診断が確定したら、保健所や自治体への報告と連携を行います(1~3類の場合)。 また家族への連絡、感染して潜伏期間にあると考えられる利用者の経過観察を始めます。
感染症の類型および届け出の必要がある感染症についてはこちらをご確認ください
厚生労働省『感染症法に基づく医師の届出のお願い』(外部リンク)
1人目の感染者が出たときの対応方法
施設での対応ポイントをまとめました。大切なのは「受診」「二次感染予防」「情報共有」「報告」です。
保健所・自治体に報告する基準
家族への報告について
家族への報告は、感染症の疑いがある段階で連絡し、受診の付き添いを依頼します。看護師も必ず付き添い、施設職員と家族が医師からの説明を聞きましょう。
施設側もていねいに対応し、家族の理解を得るようにしてください。また、不安を抱かせないよう注意することも必要です。日々の状況報告も、完治するまで密に連絡することを心がけましょう。
「感染症対策マニュアル」に目を通しておこう
感染症が発生した際、職員が必要以上に過敏にならないよう、ふだんから感染症対策マニュアルに目を通しておくことが大切です。
職員が過敏になってしまうと、利用者の生活行為を必要以上に制限したり、精神的負担を増大させてしまったりする可能性が高く、生活の質を低下させてしまうおそれがあります。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編』(講談社/2018年2月14日発売)の内容より一部を抜粋して掲載しています