会議で終わりにせずに、ここまで学んだことをマニュアル化して現場に戻しましょう。え、事業所に事故防止マニュアルがない? ではそのつくり方から解説しますね。注意点もあります!
マニュアルづくりのポイントを解説
ケース検討会議で事故防止対策がまとまったら、現場の職員が共有できるように事故防止マニュアルに入れ込みます。
しかしこれは、すでに各施設で作成した事故防止マニュアルがあることが大前提です。現時点で事故防止マニュアルがない施設は、まず各施設の業務内容に即した事故防止マニュアルをつくったうえで、その中に追加する形になります。
では、事故防止マニュアルはどのようにつくればいいのでしょうか。重要なポイントをまとめましたので、つくるときの参考にしてください。
マニュアルづくりの「悪い例」とは
マニュアルづくりには、「悪い例」があります。以下の5つのポイントに気を付けてくださいね。
- ほかの施設のマニュアルをそのまま持ってきたので、その施設で行われている手順に即していない
- 現場の職員が参加しないで作成したため、できないことがたくさん載っている
- 「注意して○○する」「適切であることを確認する」などの漠然とした表現が多い
- 文字が細かくて、読みにくい
- ページ数が多すぎて、読む気にならない
全職員を巻き込んでつくることが大切
作成する際のコツは、「危険を避けるために、どのような確認動作や声かけをするべきか」を意識しながら文章にまとめることです。
たとえばちょっとした段差を上る介助のときに、「階段なので気をつけてください」という声かけよりも、「階段を3段上りますよ。はい1段、2段、3段」と具体的に声をかけるほうが、事故防止効果は上がります。「気をつける」「注意する」といった漠然とした表現ではなく、「気をつける」にはどのような安全確認をすればいいのか明確にするのがマニュアル化です。
また、マニュアルをつくる際には全職員を巻き込むようにしましょう。現場の職員は毎日忙しいので、突然マニュアルを渡されても対応できないものです。
そこで、作成段階で全職員に意見を出してもらい「みんなで決めた私たちのマニュアル」という感覚を持ってもらえれば、職員も当事者意識を持って取り組むようになります。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント 事故防止編』(講談社)の内容より一部を抜粋して掲載しています