外部から入ってくる感染症に対しては、感染源の侵入を防止する「未然防止策」と、施設内で感染が広がらないための「拡大防止策」で対応します。そのふたつをどのように考え、対応していけば良いか解説します。
家族の面会制限は注意が必要
介護施設は地域に開かれている必要があるので、外部からの感染を防ぎたいからといって、完全に侵入経路を遮断することは不可能です。下のイラストのように、未然防止策に固執しすぎず、むしろ二次感染の防止に力を入れましょう。
大切なのは未然防止策より拡大防止策

外部との関係を遮断しすぎると弊害が大きい。未然防止策にばかり固執していると、万一、施設内に感染症が侵入した場合に発見が遅れるという弊害もあります。
感染症の侵入を未然に防ごうとするのは当然ですが、その先を考えておく必要があります。
それよりも感染症の発生を迅速に発見し、二次感染を防ぐほうが大切です。
外部からの感染は起こるものと考え、発生時のマニュアルを用意しておきましょう。特に、おもな感染症の罹患時に現れる特徴的な症状を研修しておくことは大切です。
外部者への依頼は注意喚起ポスターが効果的
家族への面会制限の徹底も、好ましくありません。感染症を怖がるあまり、未発生時点で家族の面会を制限(拒否)したとして、家族から訴訟寸前の強いクレームを受けた施設があるので注意が必要です。すでに感染症にかかっている利用者と体調不良の利用者のみ、面会の自粛を依頼しましょう。ポスターをつくり、手洗いやうがいに協力してもらうと効果的です。

エントランスに手洗い設備を設け、上記のような注意喚起ポスターを設置しましょう。面会者用スリッパが不衛生な施設が多いので、そうした施設は改善が求められます。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編』(講談社/2018年2月14日発売)の内容より一部を抜粋して掲載しています