北欧から学ぶ ティルト・リクライニング式車椅子を使用した褥そうの防ぎ方

【漫画】褥そうを防ぐティルト・リクライニング式の車椅子の活用方法

ケアマネジャー・きょうしろうさんに介護職にとってためになるケアのノウハウを伺っているこの企画。前回は「【漫画でわかる】おむつ交換の手順」を解説しました。今回は、ある北欧の介護施設の「ティルト・リクライニング式の車椅子の使い方」をきょうしろうさんが漫画でご紹介し、We介護の介護士ちゃんがナビゲートします。

体位変換や圧抜きをするのは褥そう予防のため

きょうしろうさん

介護職をしていると、体位変換や圧抜きを毎日のように行いますよね

介護士ちゃん

そうですね、2時間おきに実施する、などルールを決めている施設もあるみたいです!

きょうしろうさん

これって褥そう予防のために実施されているんですけど、そもそも体位変換や圧抜きをしないと、利用者さんに大きな負担がかかるんです……(;・∀・)

どんなに気持ちの良い椅子に座っても、微動だにせず5分、10分、30分…とずっと同じ姿勢で座って入られません。
私達は無意識に座り直したり、姿勢を正したり、立ち上がったり

介護士ちゃん

たしかに、健常者の方でも長時間ずっと同じ姿勢で座っているのはつらいですよね

きょうしろうさん

そうそう。そこで、考案されたのが下の写真のようなティルト・リクライニング式の車椅子なんです

介護士ちゃん

ティルト・リクライニング式……?

初めて聞きました!どんな車椅子なんですか?

きょうしろうさん

ざっくり説明すると、背もたれや座面の角度を変えられる車椅子なんです

介護士ちゃん

すごい、そんな便利な車椅子があるんですね……!

ティルト・リクライニング式の車椅子をどう活用する?

きょうしろうさん

ただ、ティルト・リクライニング式車椅子でも、同じ姿勢のまま長時間だと座っていたらさすがにしんどいです

介護士ちゃん

うーん……誰がいつやるのかって、難しい問題ですね!

いつも仕事に追われているから、ルール化しておかないと忘れてしまいそう……

きょうしろうさん

そうなんですよね。でも、一日中ベッドで寝たきりより、昼間は好きな場所でくつろいでほしいですよね

介護士ちゃん

たしかに、車椅子だと移動して好きな場所で過ごせそうです!

日当たりの良い場所、みんなが集まっている場所とか

きょうしろうさん

そうそう。だから車椅子で快適に過ごせることってすごく大切なんです!

そこでご紹介したいのが、北欧のとある介護施設でのお話です


ティルト・リクライニング式車椅子の除圧について、効果的かつ興味深い工夫をしています

「おはよう」のついでに。ある北欧の施設の工夫

介護士ちゃん

これは面白い取り組みですね……!!

通りすがりに、みんなが声をかけながら姿勢を変えてくれるって温かみがあっていいですね

それにチェック表を作るといった業務負担を増やすのではなく、みんなで意識を共有しておくだけで職員間の負担をうまく軽減しているのが素晴らしいです!

きょうしろうさん

そうですね。ただ、人手不足の職場だったり、褥そう予防の知識をもつ方が少なかったりする施設だと、なかなか取り入れるのは難しいのが現状です……

介護士ちゃん

うーん……(´・ω・`;) たしかに、誰か一人が頑張ればいいってわけではないですよね

きょうしろうさん

でも、この北欧の介護施設で実践されている「みんなで良いケアを繋いでいく介護」の考え方は、とても重要だと思います

ケアの方法や質をしっかり職員間で共有し、良いケアを繋いでいくことが利用者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ。生活の質のこと)の向上にも活かされるはずです

介護士ちゃん

そう思います! それにしても、福祉用具も本当に便利になっていますね

きょうしろうさん

福祉用具も日々進化しています

利用者さんがより快適な暮らしになるように、これらをしっかり活用しながら工夫していきましょう

(参考)
株式会社ミキ『GF・Uni Dash_sp

漫画/きょうしろう
構成・文/編集部
写真提供/株式会社ミキ

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