おむつから排泄物などが漏れてしまって困っていませんか?利用者さんのおむつ交換をするとき、より漏れにくく、利用者さんにとって快適にするためのポイントを解説していきます。
当記事では、おむつの付け方を極めたケアマネジャー(介護支援専門員)のきょうしろうさんに漫画で解説していただき、We介護の介護士ちゃんがナビゲートします。
おむつの付け方には抑えるべきポイントがある
利用者さんのおむつ交換をするとき、排泄物が漏れて衣服が汚れていたり、「きつい」「窮屈に感じる」などと言われたことがありませんか?
おむつの付け方って、職員によって全然違うんですよね
たしかに、「これは〇〇さんの付け方だ~」ってわかっちゃうというか
本当は、おむつの付け方にも抑えておくべきポイントってあるんです
ポイントを抑えれば、装着時におむつが偏ったり、ごわついてズボンが上げにくい……といったことも防げます。
ここでは、漏れにくい、そして利用者さんにとって快適に過ごしていただきやすいおむつの付け方のポイントを漫画で見ていきましょう。
ステップ1 | パッドを広げる
おむつを包装紙から取り出して、広げるときにもコツがあります。
漏れにくくするポイントは2つあります
- ギャザーをしっかり立てること
- 軽く引っ張り空気を入れること
それでは、おむつのパッドを広げていきます。
おむつをこのように広げると、このようなメリットがあります。
また、おむつのパッドを広げるときの注意点は主に2つあります。
おむつの表面は、利用者さんの陰部に触れるデリケートな部分になります。触るときは、衛生面に配慮して必ず手袋をするようにしましょう。
1日に何度もおむつ交換をしていると、広げ方が雑になってくる職員さんっていますよね
疲れてくると、おむつを振って広げたくなっちゃいますよね……
そうそう。でも、あれって実は良くないんです
えっ、そうなんですか……!
おむつのなかには、水分を吸収するための素材(吸水ポリマー)などが詰まっています。おむつをむやみに振って広げると、素材がおむつのなかで偏ってしまい、漏れの原因になりますので注意しましょう。
ステップ2 | テープ式とパッドをセットする
次に、おむつのテープ式とパッドをそれぞれ利用者さんに当てていきます。
まずはテープ式の当て方から見ていきましょう
いつも、腰のどの位置に当てたらいいのか悩んじゃいます
体型によって、わかりにくいケースもありますからね。そんなときのコツも紹介していきますよ
テープ式の当て方
テープ式を当てる場所を決めるときのコツは、おむつの端をしっかり腰の位置に合わせることです。
腰の位置はこのように確認します
側臥位(そくがい)になっていただくことで、腰のくびれがよりわかりやすくなるため、テープ式の位置の目安にすることができます。
パッドの当て方
テープ式の次に、パッドを当てていきます。パッドは、テープ式とは異なり、腰の位置を目安にはしません。
なるほど……!テープ式みたいに腰の位置を目安にしちゃうと、体型が大きめの方は前側が足りなくなりそうですね
逆に、細い方だと前側が余ってしまうケースもあります
漫画の通り、パッドは、利用者さんの尿道口がしっかりパッドの中央に当たる場所が正しい位置になります。
ただし、利用者さんに合わせて広い面の前後を変えても大丈夫です。
ステップ3 | パッドはズレないようにギャザーにしまう
パッドの位置がズレてしまわないように、パッドはテープ式のギャザーにしっかり入れましょう。
ギャザーは撥水加工されているため、パッドをなかに入れても染みて汚れることはありません。安心してギャザーのなかに入れてください。
ステップ4 | おむつが傾いていないかを確認
セットしたテープ式のおむつが傾いていないかを確認していきましょう。
利用者さんには仰向けになっていただきます
テープ式の傾きを確認
パッドの傾きを確認
次に、パッドが傾いていないかを確認しましょう。
あの謎な状態は、パッドの当て方が悪かったんですね
介護あるあるです
パッドを中心に当てると解説しましたが、例外もありますので解説します。
片麻痺の方のパッドの当て方
片麻痺の方や、半側臥位になる方などは、パッドの中央よりも外側に尿が流れてしまう傾向があります。
あらかじめ、パッドが片側だけ汚れる傾向のある方は、少しだけズラしてセットすると安心です。
ステップ5 | おむつのシワを伸ばす
テープ式とパッドの位置が決まったら、おむつのシワを伸ばしましょう。
おむつにシワがあると隙間ができて、漏れやすくなります。また、シワが皮膚を圧迫し、傷めてしまうことがあるので気をつけましょう。
シワを伸ばすことで、ズボンを履かせやすくなり更衣介助の負担も軽減できます。
ここで大切なのは、おむつのシワを伸ばす力加減です
利用者さんの肌を守るためにも、力加減には注意してください。
ステップ6 | おむつを装着する
おむつを付けるとき、利用者さんの内ももの皮膚を擦ってしまうことがあります。おむつは幅が広いので、内ももにあたって皮膚を傷める可能性があります。
鼠径部(そけいぶ)とは、太ももの付け根のラインです
あ、コマネチをするときに手が当たるところですよね
う、うん……(;・∀・)
漫画の通り、内ももにこすらないように、かつギャザーをしっかり立てている状態にすることがポイントです。
ステップ7 | おむつに挟んでしまっている皮膚を出す
おむつを交換するとき、利用者さんのたるんだ太ももの皮膚をおむつに挟んでしまうケースがよくあります。
皮膚を巻き込んでしまうと、おむつの中に隙間が出来てしまい、漏れに繋がります。
筋肉量が少ない方ほど、皮膚がたるんで挟まりやすくなります
寝たきりの方などは特に注意が必要ですね……!
パッドを当てている時点で、皮膚を挟まないようにすると時短になります。
ステップ8 | テープの留め方
それではおむつのテープを留めましょう。上下左右、どの位置のテープから留めるかも大切なポイントです。
おむつのテープを下の両サイドから留めるメリットは、パッドがズレにくくなることです。
実は、テープの貼り方にもポイントがあるんです
おむつの下側のテープの留め方のポイントは下記の通りです。
次に、おむつの上側のテープを留めていきましょう。
上側のテープを留めるときのポイントは次の通りです。
なるほど、テープはクロスになるのですね!
あ、「テープはクロスになるように貼る」ってところだけ覚えちゃダメですよ~!なんでこうなるのか、理屈も併せて覚えることが大切です
わわ、気をつけます……(;・∀・)!
仕上げに、おむつが適切に付けられているかをチェックしましょう
最後にチェックするポイントは4つあります。
- ギャザーからパッドがはみ出していないか
- おむつのセンターラインと、体の中心が合っているか
- おむつの後ろ側にしわができていないか
- 利用者さんにとって気持ち悪いところはないか
利用者さんの不快感にも配慮しながら、漏れないようなおむつの付け方ができれば介護負担の軽減にもつながります。
介護士ちゃんもお疲れ様でした!どうでしたか?
おむつの付け方のコツってたくさんあるんですね、とっても勉強になりました!
今日教えていただいたことを練習して、おむつマスターになりたいです!
それはよかった。ぜひ実践してみてください!