介護施設のクレーム対応/必要なのは「職員がクレーム対応に積極的になれる環境づくり」|トラブル対策編(第67回)

介護施設のクレーム対応/必要なのは「職員がクレーム対応に積極的になれる環境づくり」|トラブル対策編(第67回)

クレームに対して職員がマイナス意識を持っていると、お客様を納得させることはできません。まずその意識を変える環境づくりが必要です。申し立てたお客様に対して、満足度を上げる方法を考えてみましょう。

クレーム対応のしくみを整えよう

しっかり介護ができているはずなのに、クレームが大きなトラブルにつながってしまう施設があります。そういう施設の責任者は、「いったい、これ以上どこを改善したらいいのか」と思うことでしょう。その場合は介護サービスの内容ではなく、クレーム対応のしくみに問題があるかもしれません。

【クレームに対する職員の意識~こんな気持ちになっていませんか?~】クレームを受けた人:面倒だ・怒られたくない・なるべくかかわりたくない。責任者:非を認めたら付け込まれるのではないか・なんで私が対応しないといけないのか・嫌なお客様だ

まずは、職員のクレーム対応に関する意識を見直すことから始めましょう。施設内に、クレームを面倒なことだととらえる風潮はないでしょうか。クレームに対する職員のマイナス意識を改善するだけで、お客様に納得していただけるケースも増えるはずです。まずは下図のように、クレーム対応における好循環を目指しましょう。

【適切なクレーム対応は、職員の意識改革から】職員の消極的な姿勢が招く悪循環:クレームに対する職員が「明らかにイヤイヤ対応している」と感じられる施設があります。この姿勢はお客様にはストレートに伝わり、悪循環に陥りがちです。職員の積極的な姿勢が作り出す好循環:クレーム対応をする職員が、「お客様の悩みを解決して、満足してもらいたい」と思いながら対応すれば、その気持ちは必ずお客様にも伝わります。

クレーム対応に積極的な環境へ

好循環を生むためには、職員が積極的にクレーム対応に当たる必要があります。そうした施設運営をするには、どうしたらいいのでしょうか。

まずは、「クレームに対して積極的に対応した職員の努力を認める風土づくり」を進めましょう。施設全体がクレームを業務改善のチャンスととらえたり、職員の評価を高める機会にできたりすれば、モチベーションも上がるというものです。

職員が気持ちよくクレーム対応できる環境づくりとは?

クレームをマイナス評価しない

クレームを受けた職員を励ます介護職員のイラスト

クレームが出たこと自体をマイナスにとらえてはいけません。クレームは誰にでも発生する可能性がある「避けられないもの」です。だからこそ「業務改善のきっかけ」としてとらえることが大切です。

当事者だけでなく情報をオープンにする

クレームを施設全体でオープンにしているイラスト

クレームを申し立てられたことを「悪いこと」ととらえて、ほかの職員たちに隠そうとしてはいけません。それよりも「オープンにして、今回のクレームからみんなで学ぶ」風土にすれば、根本的な解決につながります。

お客様が満足したら職員を評価する

クレームに対し、お客様が満足する対応をした職員を評価するイラスト

実際に怒っているお客様のために行動し、納得してもらうというのは大変なことです。だからこそ誠意を持って対応し、無事に解決できた場合は、しっかりとその職員を評価するシステムをつくりましょう

改善提案をした職員を評価する

クレームをきっかけに業務改善の提案をした職員を評価するイラスト

クレームをきっかけに業務改善を行うことは、大切なことです。「困ったお客様がいた」で終わるのではなく、クレームの要因になった部分の改善提案をした職員がいたら、積極的に評価するシステムをつくりましょう

また、「責任者の姿勢」が職員のクレーム対応の姿勢に大きく影響することを知らなければいけません。責任者が間違った対応をすると、職員のモチベーションを著しく下げてしまいます。責任者が正しく動けば、必ずそのチームのクレーム対応はいい結果を生むはずです。

【責任者の姿勢が明暗をわける】非を認めて謝罪する・責任者が矢面にたつ・個人の責任を追及しない

クレーム対応を改善する第一歩は、「職員が気持ちょく対応できる環境づくり」と「『管理者の心得』を作成する」ことから始めましょう。

著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛

※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編』(講談社)の内容より一部を抜粋して掲載しています

書籍紹介

完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編

介護リスクマネジメント  トラブル対策編

出版社: 講談社

山田滋(著)、三好春樹(監修)、下山名月(監修)、東田勉(編集協力)
近年、介護事業者と家族のトラブルが増加しています。介護現場は、トラブルになりやすい事故が多いにもかかわらず、対策が未熟な施設が少なくありません。事故が起きた際の適切な対応手順をしっかり学べる一冊です。

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  • 山田滋
    株式会社安全な介護 代表

    早稲田大学法学部卒業と同時に現あいおいニッセイ同和損害保険入社。支店勤務の後2000年4月より介護事業者のリスクマネジメント企画立案に携わる。2006年7月よりインターリスク総研主席コンサルタント、2013年5月末あいおいニッセイ同和損保を退社。2014年4月より現職。

    ホームページ |株式会社安全な介護 公式サイト

    山田滋のプロフィール

  • 三好春樹
    生活とリハビリ研究所 代表

    1974年から特別養護老人ホームに生活指導員として勤務後、九州リハビリテーション大学校卒業。ふたたび特別養護老人ホームで理学療法士としてリハビリの現場に復帰。年間150回を超える講演、実技指導で絶大な支持を得ている。

    Facebook | 三好春樹
    ホームページ | 生活とリハビリ研究所

    三好春樹のプロフィール

  • 下山名月
    生活とリハビリ研究所 研究員/安全介護☆実技講座 講師

    老人病院、民間デイサービス「生活リハビリクラブ」を経て、現在は「安全な介護☆実技講座」のメイン講師を務める他、講演、介護講座、施設の介護アドバイザーなどで全国を忙しく飛び回る。普通に食事、普通に排泄、普通に入浴と、“当たり前”の生活を支える「自立支援の介護」を提唱し、人間学に基づく精度の高い理論と方法は「介護シーン」を大きく変えている。

    ホームページ|安全な介護☆事務局通信

    下山名月のプロフィール

  • 東田勉

    1952年鹿児島市生まれ。國學院大學文学部国語学科卒業。コピーライターとして制作会社数社に勤務した後、フリーライターとなる。2005年から2007年まで介護雑誌『ほっとくる』(主婦の友社、現在は休刊)の編集を担当した。医療、福祉、介護分野の取材や執筆多数。

    ホームページ |フリーライターの憂鬱

    東田勉のプロフィール

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