クレームに対して職員がマイナス意識を持っていると、お客様を納得させることはできません。まずその意識を変える環境づくりが必要です。申し立てたお客様に対して、満足度を上げる方法を考えてみましょう。
クレーム対応のしくみを整えよう
しっかり介護ができているはずなのに、クレームが大きなトラブルにつながってしまう施設があります。そういう施設の責任者は、「いったい、これ以上どこを改善したらいいのか」と思うことでしょう。その場合は介護サービスの内容ではなく、クレーム対応のしくみに問題があるかもしれません。

まずは、職員のクレーム対応に関する意識を見直すことから始めましょう。施設内に、クレームを面倒なことだととらえる風潮はないでしょうか。クレームに対する職員のマイナス意識を改善するだけで、お客様に納得していただけるケースも増えるはずです。まずは下図のように、クレーム対応における好循環を目指しましょう。

クレーム対応に積極的な環境へ
好循環を生むためには、職員が積極的にクレーム対応に当たる必要があります。そうした施設運営をするには、どうしたらいいのでしょうか。
まずは、「クレームに対して積極的に対応した職員の努力を認める風土づくり」を進めましょう。施設全体がクレームを業務改善のチャンスととらえたり、職員の評価を高める機会にできたりすれば、モチベーションも上がるというものです。
職員が気持ちよくクレーム対応できる環境づくりとは?
クレームをマイナス評価しない

クレームが出たこと自体をマイナスにとらえてはいけません。クレームは誰にでも発生する可能性がある「避けられないもの」です。だからこそ「業務改善のきっかけ」としてとらえることが大切です。
当事者だけでなく情報をオープンにする

クレームを申し立てられたことを「悪いこと」ととらえて、ほかの職員たちに隠そうとしてはいけません。それよりも「オープンにして、今回のクレームからみんなで学ぶ」風土にすれば、根本的な解決につながります。
お客様が満足したら職員を評価する

実際に怒っているお客様のために行動し、納得してもらうというのは大変なことです。だからこそ誠意を持って対応し、無事に解決できた場合は、しっかりとその職員を評価するシステムをつくりましょう。
改善提案をした職員を評価する

クレームをきっかけに業務改善を行うことは、大切なことです。「困ったお客様がいた」で終わるのではなく、クレームの要因になった部分の改善提案をした職員がいたら、積極的に評価するシステムをつくりましょう。
また、「責任者の姿勢」が職員のクレーム対応の姿勢に大きく影響することを知らなければいけません。責任者が間違った対応をすると、職員のモチベーションを著しく下げてしまいます。責任者が正しく動けば、必ずそのチームのクレーム対応はいい結果を生むはずです。

クレーム対応を改善する第一歩は、「職員が気持ちょく対応できる環境づくり」と「『管理者の心得』を作成する」ことから始めましょう。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編』(講談社)の内容より一部を抜粋して掲載しています