「ひざ裏のばし」はレクにも使える、1日たった5秒からできるかんたん体操です。「体の不調が改善された!」と話題になっているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。ぜひ、介護現場でも取り入れたいですよね! そこで、「ひざ裏のばし」の発案者・かわむらクリニック川村明医師の新著『奇跡のひざ裏のばし』(世界文化社)から全5回で基本ポーズをご紹介します。第1回は「壁ドン」です!
どうして「ひざ裏」をのばすの?
体の不調を改善するには、伸展力の起点となっているひざ裏をのばすことが大切です。ひざ裏をのばすと骨盤が立ち、おなかに力が入り、背すじがのびて、肩や胸が開きます。
「伸展力」とは、体をのばす筋肉の力のことです。主に体の後ろ側の筋肉が伸展力を担っていて、重力に逆らい、体をまっすぐにして立っています。

加齢や病気によって伸展力が衰えると、体は重力に逆らえなくなり、まず伸展力の起点となっているひざが曲がります。ひざが曲がると、太ももの筋肉が縮む→骨盤が後ろに倒れる→腹筋がゆるむ→背中が曲がる→首や肩が前に出る、というふうに連鎖反応が起こり、腰の曲がった姿勢になってしまうのです。
まっすぐ立てなくなると次のような不調を招きます。
- 姿勢の悪化からなる腰痛・腸のトラブル
- 呼吸が浅くなることによる血行不良・代謝の低下・免疫力の低下・自律神経の乱れ・認知機能への悪影響など
- ひざが曲がることで歩きにくくなり、転びやすくなる
骨盤が立つと内臓の働きがよくなります。肩や胸が開くと呼吸が深くなり、体幹に力が入りますし、代謝と免疫力が上がり、自律神経が整います。さらに、ひざ裏がのびることで歩きやすくなるので、運動量が増えます。
ひざ裏をのばすことで、体の調子を整えていくことができるのです。
「壁ドン」のねらいと得られる効果
「壁ドン」は、体がよみがえる、ひざ裏のばしのすべての基本となるポーズです。
ひざ裏をのばし、背中の筋肉や体幹を鍛え、内臓の血行をよくします。壁を押すことよりも、体をのばすことを意識して行ってください。

ねらいは、ひざ痛、腰痛、ぽっこりおなかの改善と免疫力のアップです。
【写真で解説】「壁ドン」をやってみよう
それでは、「壁ドン」のポーズを行う方法を解説していきます。


ひざが腫れたり、痛んだりする場合は無理せず中止してくださいね。

ここに注意
3のとき、ひざ裏をのばし、かかとで床を押すのがポイントです。

3~4を2回くり返してください。終わったら、反対側も同じく1~4をくり返します。
NGポーズ
川村先生のワンポイント・アドバイス

ひざ裏のばしで大切なことは、1日1ポーズ、たった5秒でもいいので毎日続けること。
毎日続けることで筋力や柔軟性が養われます。ただし、ひざや腰、股関節が痛んだり、体調が悪いときは無理をしないでください。
第2回は、ひざ痛さん・腰痛さん向けのケアとして、「両手アオサギ」のポーズをご紹介します。お楽しみに!
著者/川村明
素材提供/世界文化社
※本記事は『奇跡のひざ裏のばし』(世界文化社)の内容より一部を抜粋、再編集して掲載しています