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重心移動を学ぶ | あなたのための介護技術 基本編(1)

力だけで身体介護はできません。女性の介助者が、自分より大きな男性利用者を移乗する際など、必要になるのは重心移動です。
本記事では「持ち上げない」介護技術の基礎ともいえる重心移動を解説します。

重心とは

重心とは、物体の重さを支えている中心であり、全体を支えているバランスのとれる点のことを指します。

本連載では、重心を点ではなく、それが通っている線(重心線)を意識して表現しています。

人が立っている状態とは、自分の重心を両足の間にかけ、バランスを取っている状態のことです。

片足立ちになる時には、必然的にもう片方の足に全体重が乗ります。

片足を上げるためには、体全体を片方へ傾けることにより、上げる片足は軽くなり、足を上げることが可能となります

もし、この時、壁があり体を傾けられなかったら、両足に重心が乗ったままになり、足を上げられなくなります(下図参照)。

つまり、重心が外れたものは軽くなりますが、重心の乗ったものは重くなるため、健康な人でも動かすことが困難になります。

重心をどこかに移すコントロールをすることにより、重さは軽くなり、少ない力で動かすことができます。

重心コントロールを理解することで、女性でも自分より大きな男性の介助が可能です。

本連載では、介助者役として女性モデルを使用しており、利用者役に男性モデルを使用(一部例外あり)しております。

このように、体重差があっても介助が可能であり、力だけではない介助者にもご利用者にも負担の少ない「持ち上げない介護」技術を紹介していきます。

ワンポイントレッスン

壁に体をぴったり横にくっつけた状態で、片方の足を横に上げることができるかやってみましょう!

著者/高山彰彦

※本記事は『あなたのための介護技術 基本編』(文芸社/2018年2月15日発売)の内容より一部を抜粋・再編集して掲載しています

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