介護職として働いているなかで、妊娠が判明したときはどうしたらよいのでしょうか。仕事は続けられるの? 働く際に気をつけることは? 職場にはどうやって報告すればいい? など、妊娠した介護職の方が気になるポイントをまとめて解説します。

介護職の妊娠→出産→復職の流れ

妊娠から出産、元の職場に復職するまでのおおよその流れを把握しておきましょう。モデル例は下記の通りです。

妊娠判明から復職までの流れ(モデル例)妊娠初期(2~4ヶ月):職場に報告。妊娠中期/安定期(5~7ヶ月):気をつけながら仕事。妊娠後期(8~10ヶ月):産休(出産予定日6週間前から出産翌日の8週間後まで)赤ちゃん0歳:育休。最長2歳まで延長可能。職場復帰

介護職が妊娠したら、まずは何からすればいいの?

介護職の女性が「妊娠したかも」と思ったら、まずは産婦人科で医師の診断を受けましょう。妊娠していると診断された場合は、なるべく早めに職場の上司に伝え、仕事を続けられる体制を作ってもらうことが大切です。

介護職が妊娠したと思ったら・・・医師の診断を受けよう・早めに職場に報告相談・妊娠・出産の精度をチェック

妊娠したかも?と思ったら、医師の診断を受けよう

「生理が来ない」「なんだか眠くてだるい……」などの兆候から妊娠に気がついたら、まずは産婦人科を受診しましょう。正確な診断を受け、自分と赤ちゃんの健康状態をしっかり把握することがすべての第一歩です。

なお、ドラッグストアなどで買った妊娠検査薬で陽性が出ただけの段階で、職場へ報告するのはおすすめしません。妊娠検査薬では子宮外妊娠などの異常がわからず、正確な診断ができないため、あくまでもセルフチェックと考えましょう。

妊娠の診断後は、早めに職場に報告・相談しよう

妊娠していると医師から正式に診断されたら、できるだけ早めに直属の上司に報告しましょう

介護職は利用者さんの身体介助など体に負担のかかる業務も多いため、妊娠中は担当業務や仕事量を調整してもらう必要があります。

「職場への妊娠の報告は安定期に入ってから」と考えている方もいるかもしれませんが、職場がスタッフの業務配分の見直しやシフト調整などの対応を行いやすくするためにも、なるべく早めの報告がおすすめです。

上司への妊娠を伝えるときは、下記のポイントも合わせて口頭で報告・相談しましょう。

【上司に報告・相談すること】

  • 出産予定日
  • 通院などのために休みたい日があるか
  • 妊娠中の勤務で配慮してほしいこと(夜勤をなくしてもらう、担当業務を変更してもらうなど)
  • いつごろから産休や育休を取得する予定か
  • 同僚や利用者さんへの伝え方やタイミング(同僚へのお知らせは安定期に入ってからにしたい、など)

なお、これらのポイントは最初の妊娠報告のときにすべて決めておく必要はなく、何回かに分けて相談しながら決めていってもかまいません。とくに産休や育休については、パートナーや家族とも相談して希望する期間を決め、慎重に職場と交渉しましょう。

キャリアアドバイザーから一言

個人差もありますが、妊娠初期はつわりなどで体調が変化しやすく、仕事中に具合が悪くなったり、必要に応じてお休みを取ったりする可能性があります。
妊娠中も働きたい場合は、職場にその意思を率直に伝えて働きやすい環境を整えてもらえるように要望を伝えていきましょう

職場側には、妊娠中のスタッフが十分に能力を発揮できるよう環境を整える義務があるので、できる範囲で応えてもらえるはずです。
また、もし職場の反応がよくない場合は医師に相談したうえで、「母性健康管理指導事項連絡カード」の活用を考えてみましょう。

妊娠・出産にかかわる制度を知っておこう

職場に妊娠・出産や産後の職場復帰について職場と相談する前に、あらかじめ産休・育休や妊娠・出産前後に受け取れる手当について知っておくとスムーズです。

産休・育休

産前・産後休業(産休)と育児休暇は、正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関わらず、下記の条件で取得することができます。

産前・産後休業(産休)
誰でも取得可能。産前休業は、出産予定日の6週間前から、請求すれば取得できる。産後休業は、出産の翌日から8週間は就業不可となる(産後6週間が経過していれば、本人が希望し、医師が認めた場合は就業可能)。
育児休暇
取得に条件あり。同じ施設・事業所に1年以上勤めており、その後も雇われ続ける見込みの人が取得可能。基本は子どもが1歳になるまでだが、最長で2歳になるまでは延長できる。

※詳しくはこちら(外部リンク)『育児休業期間は2歳まで!延長の方法は?』(転職Hacks)

妊娠・出産に関係して受け取れる諸手当

妊娠・出産に関係して、介護職として働いている人が受け取れる手当は以下の通り。

出産育児一時金
出産費用の補助金(42万円)。誰でも受け取れる。健康保険から支給される。
出産手当金
出産のために仕事を休んだ期間の分、受け取れる手当。健康保険から支給される。
育児休業給付金
育休中に受け取れる手当。雇用保険から支給される。

※詳しくは→こちら(外部リンク)『もらえる期間・申請方法は?産休・育休中は給料の約7割が支給!』(転職Hacks)

勤め先から保険組合や自治体などに対して申請が必要なものもあるので、簡単に頭に入れておきましょう。

なお、出産前に退職した場合、出産手当金や育児休業給付金は受け取れません。

介護職が妊娠したら、まずは何からすればいいの?

入浴介助や夜勤など、介護職の業務のなかには妊娠中に行うのが難しいものもあります。

妊娠中、どんなことに気をつけて働けばいいのかをまとめました。

自分の体を第一に考えよう

妊娠中は、体調面でも精神面でも不安定になりやすい傾向にあります。介護の仕事を大切にしたい気持ちもあるかもしれませんが、絶対に無理をせず、赤ちゃんを守るためにも自分の体を第一に考えるようにしましょう。

また、妊娠の段階によっても気をつけるべき点が変わってきます。大まかに以下の通りです。

妊娠初期:つわりの時期はむりをしないように。妊娠中期:おなかが目立ってくる。妊娠後期:前かがみの姿勢や重い荷物に注意

【妊娠初期 4~15週】

体調が急激に変化し、つわりに悩まされる人が多い時期です。つわり以外にもおなかが張る、腰が重く感じる、トイレが近くなるなどの症状があります。

見た目の変化が少ないため、同僚や利用者さんに妊娠を伝えていない場合は気が引けるかもしれませんが、つらいときはこまめに休憩を取ったり、担当業務を変更してもらえるよう上司と相談しましょう。

体験談

つわりのせいで匂いにとても敏感になり、食事介助や排泄介助で強い匂いを感じるのがとてもつらかったです。

【妊娠中期 16~27週】

安定期と言われる時期で、この頃からお腹が膨らんできます。前かがみになったり、しゃがんだりするときにおなかがつかえるようになり、おむつ交換などにも支障が出始めることがあります。

体験談

徐々におなかが膨らんでくるので、気が付かれることが多くなりました。ただ、認知症の行動・心理症状によって、暴言や暴力が出ている利用者さんと接するときは少し怖かったです。

【妊娠後期 28~39週】

この時期になると、赤ちゃんの成長にともなってどんどんおなかが大きく膨らんでいきます。背中や腰が傷んだり、動悸・息切れ、トイレが近くなるなどの症状が出ることも。かなりおなかが大きくなり、シーツ交換などで前かがみになったり、ちょっとした荷物を運ぶのもつらくなりました。

体験談

かなりおなかが大きくなり、シーツ交換などで前かがみになったり、ちょっとした荷物を運ぶのもつらくなりました。

いずれの段階でも、どうしても体調が悪い場合は休みをとって安静にしましょう。体調不良が長引く場合は、上司に相談のうえ、体調が安定するまでまとまった休みを取らせてもらうなどの方法もあります。

妊娠中に避けたほうがよい業務・できる業務

妊娠中にできるだけ避けたほうがよい業務と、代わりにできる業務を紹介します。

入浴介助などは代わってもらおう

妊娠している介護職が避けた方がよい業務:入浴介助・移乗介助・排泄介助

妊娠中、とくに避けたほうがよい業務は入浴介助、移乗介助、排泄介助などの身体介助です。

いずれも利用者さんを支えたり、抱えたりしなければならず、自分の体にかかる負担も大きくなってしまいます。

とくに入浴介助は、濡れた床ですべって転んだり、水場で体を冷やしてしまう可能性があるので、妊娠を報告したあとはなるべく早く担当を代わってもらうようにしましょう。

夜勤もできるだけ避けよう

夜勤もできるだけ避けたほうがよいでしょう。

妊娠中はただでさえ体調が不安定になりがちなので、夜勤をすると生活サイクルが乱れてしまい、体に余計に負担をかけてしまう可能性があります。

さらに、夜勤の時間は働いているスタッフの数も少ないため、身体介助を伴う業務も行わざるをえない場面が考えられます。

施設によっては、妊娠中のスタッフは日勤のみのシフトに変更するなどの配慮をしてくれるようです。

代わりにできる業務を探そう

事務作業をする妊娠中の介護職員のイラスト

もちろん自分の体調が優先ではありますが、妊娠中でも行える業務をできる範囲で行いましょう。

たとえば記録などの事務作業や食事介助、見守り業務、レクリエーションの企画考案など、体の負担が少ない座ったまま行える業務が挙げられます。

身体介助などの業務ができなくなったり、夜勤のシフトに出られなくなる分、ほかの業務を頑張らなくては……と気負ってしまうかもしれませんが、あくまで無理はせず、自分の体を大事にして産休までの期間を働きましょう。

出産後も介護職を続けられる?

出産まで無事に働けたとしても、気になるのは出産後も介護職を続けられるかどうか。

出産後の生活や、自分自身の希望や家族の状況も踏まえて決めたいところですが、職場側の受け入れ体制も大切です。

復帰を歓迎する職場は多い

職場にもよりますが、介護職の産後の復帰を歓迎してくれる施設も少なくないようです。

なぜなら介護職は人手不足のところも多いため、職場もある程度の経験を積んでいるスタッフには、働き方を工夫することでできる限り続けてほしいと考えているからです。

たとえば下記のような配慮をしてくれるところもあります。

  • 子どもが小学3年生になるまでは時短勤務を認めてくれる
  • 入所施設からデイサービス・デイケアなど日勤帯の仕事のみの施設に異動させてくれる(複数の施設・事業所を運営している事業者の場合)

ただし、スタッフ数の少ない小規模施設ではどうしても柔軟な対応が難しく、育児のために夜勤ができなくなると働き続けるのが難しくなることもあります。

復帰後の働き方を考えておこう

出産後も同じ職場で働きたい人は、妊娠中から復帰後の働き方について考えておきましょう。

子どもが小さいうちは、急な体調不良や怪我などのトラブルなどでなかなか思うように勤務できないことも少なくありません。また、そもそも保育園などの子どもの預け先が決まらなければ復帰もままならなくなってしまいます。

育児や家事をどのくらい分担できそうか、家庭にどのくらいの収入が必要かなどのバランス踏まえたうえで、復帰後のプランをパートナーや家族とも相談しておきましょう。

【職場復帰に関して検討すること】
  • 子どもの預け先があるか
  • 1日何時間、週何回働くか(時短勤務やパートにするか)、夜勤はできそうか
  • パートナーや家族との家事・育児の役割分担はどうするか
  • 子どもの急な発熱や病気の際のサポート体制
キャリアアドバイザーから一言

復帰後の働き方については、産休に入る前に上司とも話し合っておくのがベター。「出産後もここで働きたい」という意思を伝えておけば、職場もできる限りのサポートをしてくれるはずです。
ただし、出産・育児は思いがけないことの連続で、出産前に考えた通りにいくとは限りません。それを踏まえたうえで想定できるプランを相談しておきましょう。

出産のために離職した場合

出産のために退職した場合は、復帰の際に最大40万円の再就職準備金を受け取れる可能性があります。
再就職準備金とは、介護福祉士の資格を持っていたり、実務者研修・介護職員初任者研修などを修了している介護の実務経験者が、再び介護職に就く際に金銭面でサポートしてもらえる制度です。
基本的にはお金を「借りる」制度ですが、復帰後、2年以上介護の仕事に従事すれば返済が免除されます。
退職したいけど、再就職のときにサポートがないのが不安という方にはとても心強い制度です。

※詳しくは→【介護職に復帰すると最大40万円】再就職準備金とは?貸付条件や対象者をわかりやすく解説

出産を前提とした職場選びのポイント

もしこれから出産したいと考えている人が転職する場合は、出産・育児の支援体制がしっかり整っている施設を選ぶとよいでしょう。

スタッフ数が充実している大手の施設であれば、産休・育休だけでなく、出産前の体調不良、育児中の急な子どもの病気などで急に休むことになってしまっても、サポートしてもらいやすくなります。

転職する際は、業務内容や働く条件、施設理念に加えて、スタッフのライフイベントに対する支援体制が整っているかどうかも、求人票や施設のホームページを見て検討しておけるとベターです。

まとめ

「妊娠したかも!」と思ったら、まずは医師の診断を受けてから、職場に相談することが大切です。

「仕事を続けたい」という意思を率直に伝えた上で、妊娠中の業務内容に配慮してもらったり、出産後に復帰する体制を整えてもらったりできないか相談してみましょう。

ただし、どんなに介護のお仕事が好きだったとしても、妊娠中は自分の体が最優先。つらいときはお休みをもらうなどして、介護職として長く活躍できるとよいですね。