介護の仕事がしたいけど40代からでもできるかな……。そんな不安を抱えている方に向けて、介護業界で40代はどの程度歓迎されるのか、40代で挑戦することのメリット・デメリットを紹介します。
40代でも介護業界への転職は可能
結論からいうと、40代で介護職に転職することは十分可能です。経験者はとくに歓迎されますし、介護業界では「未経験歓迎」「年齢不問」の求人も多いため、そういった施設では未経験でも受け入れてもらえます。
というのも、介護業界は慢性的な人手不足ということもあり、40代は長ければ20年は働けるので、未経験であっても現場にとっては大きな戦力となるからです。
なお、介護業界の定年はほとんどの場合で60~65歳です。
介護職の約7割は40歳以上
介護業界では、活躍している40代以上の職員がたくさんいます。
介護労働安定センターの調査によると、介護職の平均年齢は50.0歳です。40代以上の割合は73.2%と、約7割を占めています。
50代、60代から介護職になる方もいるので、40代という年齢が介護職への転職においてネックになることはほとんどありません。
ただ、40代・未経験で介護職に挑戦する場合は、面接で「ほかにいろんな業界があるなか、なぜ介護を選んだのか?」という点が若い世代よりも重要視される傾向があります。
40代で介護職に転職するメリット
ここからは、40代で介護職に挑戦することのメリットを紹介します。
今までの経験を活かせる
これまで約20年培ってきた社会人経験を介護の仕事に活かすことができます。
例えば、接客スキルが必須となるホテルや飲食業界や、ショップ店員などの経験があれば、利用者さんとのコミュニケーションにおいて強みを発揮することができます。
専業主婦として40代まで頑張ってきた方も、家事をてきぱきと進めるスキルや、近所付き合いなどで培ったコミュニケーション力を活かすことが可能です。
また、業界を問わずマネジメント経験がある場合は、介護未経験でも管理者候補として施設に迎えてくれるケースもあります。昨今の介護業界は、業務の効率化や組織マネジメントの向上目的に、介護以外の経験を持つ人材を強く求めている傾向があります。
さらに、介護職の経験を日常に活かすという観点で、両親の在宅介護が必要になった際には、食事介助、排泄介助、移乗介助などでさまざまなケアのスキルを活かすことができることがメリットになります。
他業界に比べて未経験から挑戦しやすい
介護業界は、ほかの業界に比べて未経験からでも挑戦しやすい業界だと言えます。
冒頭でも述べましたが、「未経験歓迎」の求人も多く、無資格から始めることができます(ただし、訪問介護は初任者研修以上の資格が必須)。
40代となると、業界によっては後進の育成やマネジメントのスキルが求められますが、介護業界は人手不足ということもあり、年齢を問わず未経験でも積極的に採用している施設が多くあります。
年齢を重ねても活躍できる
介護職は専門職なので、年齢を重ねても活躍することができます。
体に負担がかからないケア手法を身につける必要はありますが、体力が続く限りは60~70代になっても働き続ける方もいます。
もし体力的に難しいと感じたら、生活相談員やケアマネジャーを目指すという選択肢もあります。
最近では、介護ロボットや移乗介助用のリフトなどが導入されている施設も増えてきており、体に負担をかけずに働ける環境が整いつつあることも追い風となるでしょう。
景気に左右されない
介護業界は景気に左右されにくい業界のひとつです。介護を必要とする高齢者の数はこれからも増加し続けるため、介護職の需要は高まり続けています。
2025年には約30万人、2035年には約70万人の介護職が不足するというデータもあり、介護職のニーズは常に高い状況です。
40代でキャリアチェンジをするということは、多くの方が定年を迎えるまで介護職として働き続けたいと考えているはずです。
その点で、景気に左右されない介護業界は、安定して働けるというメリットがあると言えます。
40代で介護職に転職する方は、この先の20数年続けるというモチベーションを持っている方が多いと思います。
介護業界は景気に左右されない業界の1つですし、年齢を重ねても働きやすい業界です。現場にとっても、40代での入職は歓迎しているところが多いので、安心してチャンレンジしてほしいです。
同世代が多い
介護職の平均年齢は49.4歳で、もっとも多い年齢層は40~49歳です。同世代が多いので職場に馴染みやすかったり、趣味や話が合う同僚が見つかる可能性が高いと言えます。
子育てをしている方も多い世代ということもあり、育児について相談しやすかったり、子どものイベントや病気などで、急なシフト調整をしたいときに職場の理解を得やすい職場も多いようです。
親の介護について同じ立場で話せる人が多いという面でもメリットがあります。
40代で介護職に転職するデメリット
40代から介護職に挑戦するメリットも数多くある一方、少なからずデメリットも存在します。ここからは40代で介護職にキャリアチェンジをするデメリットを紹介します。
経験年数を重ねるまで給料が低いことも
どの業界においても、未経験となるとどうしても最初は給料が前職に比べて低くなるというデメリットがあります。
入職時は、前職の給料よりも低くスタートする可能性が高いことを頭に入れておかなければなりません。
経験を積み重ね、資格の取得や主任やリーダーなどの役職に就くことで昇給が見込めます。
資格 | 平均給与(月額) |
---|---|
全体 | 31万6,610円 |
介護福祉士 | 32万8,720円 |
実務者研修 | 30万7,330円 |
初任者研修 | 30万510円 |
無資格 | 27万1,260円 |
※手取り額ではなく額面の金額です
※未経験かつ1年目の給与額ではありません
出典:『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果』(厚生労働省)よりWe介護編集部で作成
年下上司との関係に悩むことも
管理者やリーダー職が自分よりも年下の場合、年下上司との関係に悩まされる可能性があります。
未経験で挑戦する以上は、上司が年下であることも珍しくありません。指示や指導をされた際、素直に受け入れることができないときもあるかもしれませんが、早く一人前の技術や知識を身に着けるモチベーションに変えたり、大人な対応を心がけられるといいですね。
体力が必要
40代になって体力の衰えを感じる人は少なくありません。
移乗介助や入浴介助はかなりの重労働でもあります。
現場で働く介護職の約半数は腰痛を抱えているというデータもあるので、業務前後のストレッチや日々の体力づくりを心がけるようにしましょう。
介護職のキャリアプラン
介護職になった後のキャリアプランについては、最初の3年間は基礎を身につける下積み期間、4年目以降は介護福祉士の資格を取得しキャリアアップを考える期間と考えましょう。
1~3年目
入職して3年間は、とにかく現場でさまざまなケア技術を身に着けましょう。
国家資格である介護福祉士になるためには、3年間の実務経験と介護職員実務者研修の修了が必須となっています。
なるべく早めに介護福祉士の取得を目指すために、まずは3年目が終わるまでに介護職員初任者研修と介護職員実務者研修を修了しておくことをおすすめします。
施設によっては、資格取得の費用を出してくれることもあるので、求人を探すときは条件の1つにしてもよいでしょう。
4年目~
4年目からは、介護福祉士の試験に向けての勉強と並行して、介護職としてステップアップを目指しましょう。
介護福祉士の資格を取ることで、給料に資格手当がプラスされたり、転職する際に介護に関する知識や技術があること証明することができます。
ただし、介護福祉士の資格を取得していなくても主任やチームリーダーになることは可能です。管理者と協力しながら現場をまとめていくポジションで、介助のスキルはもちろん、マネジメントスキルを磨いていきましょう。
介護福祉士として5年以上勤務したら、利用者さんのケアプランを作成する介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格を得ることもできます。
介護職には現場で活かせるさまざまな資格があるので、積極的に取得し、希望する場合は施設の管理者を目指すこともおすすめです。
40代が介護職への転職を成功させるためのポイント
ここからは、40代で未経験の方が介護職への転職を成功させるためにポイントをお伝えします。
介護職になりたい理由を明確にする
40代は年齢がネックになることはないものの、「”なぜ”ほかにも選択肢があるなかで介護職を選んだのか?」という理由が重要視されます。
その点を明確にすることで、介護という仕事への熱意や、実際に働くイメージを持っていることを面接官に知ってもらうことができます。
参考までに、40代で介護職に挑戦しようと思ったきっかけのOK例とNG例を紹介します。
- 介護職を選んだ理由 OK例
- 介護職を選んだ理由 NG
介護職員初任者研修を取得しておく
転職前に、介護の入門資格である「介護職員初任者研修」を取得しておくと転職活動で有利になります。
もちろん、入職後に取得する人も多いですが、入職前に取っておくと「介護の仕事をするためにすでに準備を始めている」「いち早く現場の戦力になれる」ことをアピールできます。
修了するための時間と費用については、合計130時間(実技:約90時間、座学:約40時間)、費用は数万円~10万円程度です。ハローワークの職業訓練で資格が取得できたり、自治体によっては補助金が出る場合もあります。
最短2週間~1ヵ月ほどで修了することも可能なので、できれば入職前に受けておくことをおすすめします。
情報収集をしっかり行う
転職活動前に、介護職の基本的な仕事内容や施設形態ごとの違いを情報収集しておくことは、40代の転職活動にとってはとくに重要です。
施設形態(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービスなど)によって利用者さんの要介護度や、提供するサービス内容が変わります。
入職した後に、「思っていた仕事内容と違っていた……」と感じる事態になってしまわないように、事前にできるだけ自分で調べておきましょう。
また、施設によってもケアの方針が異なるので、いろんな施設のホームページをあたって、自分が目指したい介護はどんな介護か、イメージを持っておくことが大切です。
採用する側も「40代で介護職を目指すからには、介護の仕事にやりがいや熱意を持っているんだな」と期待しています。しっかり情報収集をして履歴書の作成や面接に臨みましょう。
参考
『令和3年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書』(公益財団法人介護労働安定センター)
『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果』(厚生労働省)
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