原因究明ができたら、それらを改善して段階的な再発防止策を立てましょう。シリーズその1は、成功すれば抜群の効果を得られる「未然防止策」を解説します。
再発防止策を時系列で3つに分ける
ヒヤリハットの原因究明でたくさん挙げた中に、真犯人がいくつかいるはずです。内容を検証して、可能性が高そうな原因を絞り込みましょう。
絞り込んだら、今度は対応策の検討です。原因一つひとつに対して、改善策を考えます。
効果的な再発防止策を立てるコツは、3種類の防止対策をバランスよく使い分けることです。対策は、時系列によって「未然防止策」「直前防止策」「損害軽減策」の3種類に分けられます。
平常時に事故が起こらないように対策をとるのが「未然防止策」、事故直前に回避するのが「直前防止策」、事故時に被害を最小限に抑えようとするのが「損害軽減策」です。
分かりやすい説明図を作りましたのでご覧ください。
この3つのうち、まずは「未然防止策」について詳しく紹介していきます。
未然防止策は成功すれば効果が高い
まず、未然防止策の代表例を挙げますので下図をご覧ください。
これを見るとわかるように、未然防止策とは「どうして事故につながるような行動や状況が起きてしまうのか」という根本原因を探り当て、それを改善するものです。
もしこれが成功すれば、そもそもの事故原因が消滅します。再発防止策の中で、もっとも効果的な対策と言えるでしょう。
具体的には、「転倒防止のためにふらつきの原因を調べ、睡眠薬の量を少し減らしたらふらつきがなくなった」などが未然防止策の成功例に当たります。しかし、実際にピタリと改善できる魔法のような方法を見つけるのは難しいものです。
このように未然防止策は発見が難しいものの、発見できた場合は抜群の事故防止効果を発揮します。そのため再発防止策を考えるときには未然防止策を最優先で考え、かつ、なるべく長期的な姿勢で取り組むようにするといいでしょう。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント 事故防止編』(講談社)の内容より一部を抜粋して掲載しています