今回は、ヒヤリハットシートの書き方について大切なポイントを解説します。安全対策につながる書き方を学んでいただき、再発防止の検討を行ってください!
「フリーで記入できる書式」にしよう
ヒヤリハットシートをうまく活用するためには、現場の職員がどんどん書いてくれるものにする必要があります。
ですから、ヒヤリハットシートを作成する際は、「利用者の既往症」「身体機能」「認知症の有無」「利用している福祉用具」といった、調べないと書けないような項目は必要ありません。「調べないと書けないこと」とは、「必要ならあとで調べれば誰でもわかること」にすぎないからです。
項目はなるべく少なくシンプルにして、フリーで記入できるような書式にしましょう。発生状況がわかると原因が究明しやすくなるので、特に発生状況の記入欄は広くとって、図や絵なども描き込めるようにしておくといいでしょう。
ヒヤリハット活動を効果的に行う方法は?
ここからは、シートの記入を通じて、ヒヤリハット活動を効果的に行う具体的な方法について、2つの実例を挙げて説明していきます。
【実例1】「記入の仕方」を大切に
ヒヤリハットシートをどのような書式にしようかと悩んでいる施設はたくさんあります。しかし、書式より書き方が大切です。
たとえば発生状況の欄に「Aさんが車イスから急に立ち上がろうとして転倒した」と書かれただけだと、あまりに大雑把すぎて原因と対策が見えてきません。
……など、安全対策につながる書き方にしたいものです。
【実例2】ケース検討会議を”すぐに”やる
ヒヤリハット活動が大きな成果を上げたある特養では、ヒヤリハットが発生してから2日以内にケース検討会議を行っています。
ケース検討会議にはその利用者に関わる職員が最低3名集まって、「とりあえずの再発防止策の検討」を行うそうです。その再発防止策を一定期間試したあとで、あらためて全体で再発防止のケース検討会議を開きます。
この施設の素晴らしいところは、「ヒヤリハット活動を行うことが目的ではなく、再発防止策を講じて事故を減らすことが目的である」という姿勢が徹底しているところです。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント 事故防止編』(講談社)の内容より一部を抜粋して掲載しています