大切な情報満載のヒヤリハットシート。現場の職員も閲覧できるようになっていますか? 管理者が判子を押して棚にしまいっぱなし……という施設の方は必読です!
ヒヤリハットシートは「管理者に提出して完了」ではいけない
せっかく現場の職員に書いてもらったヒヤリハットシート、その後どう扱っていますか。
よく聞くのは、職員が提出したヒヤリハットシートに管理者の閲覧印が押され、そのまま施設長のキャビネットの中に保管されているというケースです。これでは、現場の職員は「ヒヤリハットシートは、書いて提出したらOK」という認識になってしまい、その後の介護に活かすことができません。
「うちはちゃんと施設長がコメントまで書き込んだうえで、コピーを現場リーダーに返してい ますよ」という施設もあります。
しかし、もしも現場リーダーが自分で読むだけで、そのまま棚の中にしまい込んでいたなら同じことです。
秘訣は「現場共有型にして1日1回チェックする」
それでは、集めたヒヤリハットシートはどのように扱えばいいのでしょうか。ある施設では、現場リーダーが機転を利かせたことで素晴らしい事故防止効果を上げることに成功しました。
そのリーダーは、戻ってきたヒヤリハットシートを棚にしまい込まず、綴ってヘルパーステーションに置いたのです。そして「職員は1日1回、必ず目を通すようにしてください」と指示を出しました。
するとどうでしょう。
ほかの職員の書いたヒヤリハットシートには、「そういえば私もこんな経験があった」と気づける情報がたくさんありました。さらに、同じ利用者があちこちでヒヤリハットを起こしていたことも明らかになったのです。「この利用者に何も対策を立てずにいたら、大きな事故に結びつくだろう」と、みんなが危機意識を持つことができました。
ヒヤリハットは、「現場共有型」にしたいものです。
著者/山田滋
監修/三好春樹、下山名月
編集協力/東田勉
イラスト/松本剛
※本連載は『完全図解 介護リスクマネジメント 事故防止編』(講談社)の内容より一部を抜粋して掲載しています